朱音

イントゥ・ザ・ストームの朱音のネタバレレビュー・内容・結末

イントゥ・ザ・ストーム(2014年製作の映画)
3.4

このレビューはネタバレを含みます

所謂ディザスター・ムービーの中でも竜巻をメインにした作品は数多くあれど、私の中では96年にヤン・デ・ボン監督の撮った「ツイスター」を最高峰として挙げていたのだが、本作はそれを塗り替えてくれた。

本作は脚本と構成が素晴らしく、89分という短い尺の中で、キャラクターとその物語、段階を経てスケールアップしてゆく災害描写、刻一刻と変化してゆく状況の説明などを過不足なく、巧みに描き切っている。

キャラクターはそれぞれ印象的で親しみやすく、現実味がある。
見事なキャスティングと役者の演技、簡潔な台詞のやり取りなどで実に手際良く、そのキャラクターがどのような人物で、どういった関係性、問題を抱えているのかが把握出来る。
動画の撮影、タイタス装甲車の機能、ナイフなどの小物遣いが上手く、危機的状況を脱するための手段や、状況の説明、親子の絆をさりげなく描くことに成功しているほか、映画内動画としてPOVによる臨場感の演出に必然性をもたらしていると感じた。

ディザスター描写は迫力、スケール感も十分で最新の視覚効果を堪能出来るものに仕上がっている。
竜巻の目内部の景観や、吸い上げられた人間が上空にまで放り出された後、落下して地面に叩きつけられる様という現実では決して目にする事の出来ない絵をしっかり見せてくれるので満足度も高い。
ストーム・チェイサーと災害に巻き込まれた一般人という異なる視点で見せる事によって、段階を経てスケールアップしてゆく竜巻の猛威や、被害の状況など、より分かりやすくしているのも良い。


おバカで憎めないキャラクター達の描き方やその顛末も凄く良かった。
最初のインタビューで思いっきりイキってたバスケ部のアイツが災害を経て最後にちょっと成長してるのにわたしはグッときた。
朱音

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