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青鬼のSameのレビュー・感想・評価

青鬼(2014年製作の映画)
1.2
RPGツクールによって制作され、大ヒットしたフリーホラーゲーム『青鬼』の実写映画化作品です。
なんといってもブルーベリーみたいな色と形容される、なんとも言いがたいヘタウマ風な歪んだ巨顔の青鬼が魅力的。

私は原作ゲームをやってなかったので、青鬼のビジュアルに興味をひかれてみてみた訳ですが、

びっくりするほどの大駄作!!!!

もし、監督さんが、諸処の制約がありながらも自作として満足しているのでしたら、もう監督はお辞めになった方がいいんじゃないかなあ。これがちゃんと満足いく完成品というならば酷すぎます。

原作は一部で大ヒットした有名なゲームで、主演は話題性もあるAKBのメンバー、見てすぐ分かる予算の少なさ、初監督作と、監督さんが自由にできるような余地が無さそうな状況は想像できますが、逆に言えばこの状況で良いものを作り出せれば、一気に知名度が上がる絶好のチャンスだったはず。

ある意味カルト的に絶望的なほど面白くないので(笑)物好きな人の話題にはあがるかも。

まあ世間一般の『駄作』というのはホラー好きには味付けの一つに過ぎませんけど(笑)

まずは個人的に肝心な青鬼そのものから。
ポスターにもババーンと3つも描かれてますが(笑)、普通に見る限り一匹しか出てきません。
この映画で唯一と言って良いと思いますが、CGはがんばってます。
重量感こそありませんが、質感の追求はいいんじゃないかな。
ただ個人的には、この方向じゃないんだよな。こういう海外のクリーチャー風アレンジじゃなくてもっと、もしかしたら元は人だったのかもしれないと思わせるような『異形の人感』が欲しかったんだけどなあ。
この青鬼の恐さって、鼻にある気がするんですよ。
海外のクリーチャーは鼻が無かったり、穴だけだったり、人の鼻の形じゃなくするんですよね。
でもこの青鬼はがっつりかぎ鼻でしょ。
この人っぽさが怖いんだと思うんです、ドアスコープの向こうから知らない人が覗き込んでるような、歪んだ顔。
なので、こういう青いジャガイモのお化けみたいにしちゃうと、笑っちゃうよ(笑)

おそらく原作ではある程度巨大と言う設定で、この映画の中でも扉に顔がギチギチなので(笑)大きいんだと思うんですけど、追いかけてくる後ろ姿などは、CGの甘さで子供みたいに見えるカットがあって少し残念。
そもそも見せ過ぎです(笑)

ストーリーも分かりにくいです。
序盤いくつかの状況が示されたあと、映画が始まります。
こういう事前にまかれた伏線を後で回収するやりかたの映画は良くあります。個人的にこれが極端で面白かったのはラース・フォン・トリアー監督の『メランコリア』。オススメです。

この映画の場合、観客の心をつかんで次の展開を期待させる演出力が圧倒的に欠けているので、どうでも良くなっちゃうんですが、意外と話は込み入っています。


この映画を見る層って、入山杏奈さんのファンか、原作ゲームのファンだと思うので、そういう方は是非ご覧になって、あとで色々文句を言い合うのも一興だと思うので、未見の方はまずはご覧になることをお勧めします。
それ以外の方は、特にワザワザ見るほどのことは無いと思いますので、このままネタバレ以降へお進みください。

ネタバレ








転校生で今ひとつクラスに馴染めない内気な少年シュンの趣味はゲームを作ること。
そんな彼に感じるものがあった美少女杏奈は、彼に声をかけます。
そりゃあ、急に美少女から気にかけられたらうれしくなっちゃうよね、ということで自信作のゲームを、なぜか寒空の河原で杏奈にプレイしてもらいます。
ゲーム中なぜか意識が飛んで、過去や恐怖の瞬間などの別次元を見ていた杏奈ですが(笑)なかなかの棒演技で面白かったよと返します。
彼女への淡い思いがつのるシュン。
河原で別れた2人の元に、やってくる足音。学校のワル、卓郎です。

さて、場面は変わって、卓郎、ヒロシ、美香、シュンの四人は、立ち入り禁止の廃屋、中二病風なネーミングの通称「ジェイルハウス」へと向かっています。その後をこっそり追う杏奈。
リーダーで傍若無人な卓郎が、ドラッグかなにかを隠しにいくと言うことで、大きな段ボールを運び込みます。
ジェイルハウスまでつくと、作業は俺が一人でやるからと地下へ。
残された3人と、こっそり付いていった杏奈のもとに、得体の知れない巨人青鬼が襲いかかります。というのが大まかなストーリー。

この青鬼やジェイルハウスの構造は実はシュンが作ったゲームと瓜二つ。というかゲームがなぜか現実となって襲ってきたのです!

さて、この映画、主人公の一人、シュンは死んでいます。

いや、薄々気づいてたけどね(笑)

実は他のみんなにはシュンが見えないのですが、シュンも同行してることに杏奈は気づいていて(なぜだ)、後半、シュン自身が自分の死体を発見した時に解説してあげるんですが、亡霊シュンは自分が死んでることに気づいてなかったんですよね。なのでこの時、自分が卓郎に殺されたことを思い出し、取り乱してそのまま退場。もう出てきません(なぜだ)

というわけで卓郎は実はドラッグじゃなくて、特に大した動機もなくあの河原で撲殺したシュンの死体を埋めにきてたんです。
なので、誰にも見られたくないので、作業自体は一人でやってたのです。

じゃあさ、一人で埋めに行ったらよかったんでは?嫌がるみんなを引っ張っていく意味あったんか?

途中、不気味だからこんなとこ来るのやめようよーと言っていたみんなを散々小馬鹿にしてたけど、実は一人じゃ心細かったのね(笑)

そういえば、シュンは本当に死んでいたことに気づいていなかった様子。ということは卓郎に復讐する為に自分が作ったゲーム世界に卓郎達を引き込んだ訳ではないのか?
一体なぜ、このジェイルハウスにシュンが作ったゲーム通りの仕掛けが施され、ゲームに登場する青鬼に襲われるのかまったく分かりません。

ところで後半は、ワーキャーしだしてからはほぼ空気だった入山杏奈演じる杏奈が急に主人公になります。
他みんなは無惨にぐっちゃぐちゃの肉片にされちゃったので(青鬼が食べてるか、ぐちゃぐちゃにしてるだけかは不明)一人で出口を探しますが、出口の無い部屋に逃げ込んでしまいます。

扉の向こうにはシュンの声まねをする青鬼が迫ります!
ここで、杏奈は思い出します。シュンの作ったこのゲーム、自分から行動すれば危機を回避できると。
意を決して青鬼の迫る扉に手をかけた杏奈。
扉を開けると光に包まれて。。。。。

ゲーム中に意識が飛んだあの河原の場面にバック!!

めでたしめでたし

なんじゃいこりゃあ!!!

ゆ、夢オチか!
夢オチなのか、ゲームなのでやっぱり青鬼に食われてリセットしたのか?
それにしては、画面にエンディングらしき文字も出てたし(なんて表示されてたかわすれた笑)リセットではないのか。。。
もう全然よくわからん。。。設定と言うか、監督さんが何がしたいのか全然わからん。
伝え方が下手な映画に限って、やたら行間を読ませようとするよねえ。。。

しかも、もし過去に戻ったのだとしたらハッピーエンドではないですよね、この後シュンは卓郎に撲殺されるんだし。まさか『オール・ユー・ニード・イズ・キル』みたいになるのかね?(笑)

ところで原作は謎解きに人気があったようですが、この映画ではそれを見ることが出来ません。

なぜなら、シュンが全部一人で解いちゃうから

そりゃそうですよ

これ、シュンが作ったゲームだし(笑)

なので、青鬼に追いかけ回される恐怖が一切伝わってきません。逃げ方も脱出方法もシュンが知ってるんだもの。

なんらかの原因で現実になった自分が作ったゲーム世界に全員を引っぱりこんで、淡い恋心を寄せる杏奈ちゃんをおいて、勝手に途中退場するシュン。ほんとに何がしたいんだい??


とまあ、こうやって矛盾に突っ込みまくってみるのが、ホラー映画の醍醐味ですから、ある意味楽しみましたけどね。まーオススメできる作品ではありません。
ですが、続編制作決定だそうでっせ!!!どないなっとんじゃ。
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