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Mommy/マミーの6のレビュー・感想・評価

Mommy/マミー(2014年製作の映画)
4.4
ファッションで観るような映画ではない。剥き出しの愛について考えるきっかけを与えてくれるホンモノの映画。

1:1のアスペクト比で映画を描くのは盲点だった。無駄な風景をバッサリ切り取って、人物に視線が引き込まれる。それと同時に閉鎖的で親子と親友3人だけの狭い世界を強く感じさせる手法になってた。

俺は正直発達障害に対する理解がほぼ無い人間の一人だと思う。ADHDという人の目では見えない障害の形は、障害と個性の線引きを非常に曖昧にさせて当人とその家族以外からの理解を難しくさせる。一人の人間が他人と比べて出来ないことを障害と呼ばれるのはどのような定義に基づいているのだろう。個性とは何が違うのだろう。感情を留めることができず、自分の思う通りに行動しようとするこのADHDが「害」しかないとは思えなかった。全力の愛を表現することは簡単に見えて決して容易ではない。それは他人が出来ないことを自分が出来るということではないのか?どこで個性の範疇を抜け出すんだ?

そんな周りと生きられず苦しむ息子を愛し続ける母こそその息子にとっては世界一偉大な存在。題名Mommyって素晴らしい。どれだけしんどくてどれだけ生きることが嫌になって、周りの環境が変わって行っても、世界で母だけは永遠に自分を想ってる。そう分かるだけでどれだけ救われるんだろう。マザコンなんて言葉クソくらえ。何故誰よりも自分を理解している人を誰よりも愛さないんだ。俺はスティーブみたいに全てを口にすることはできないけど、もう20年近く生きて、母の苦労を理解できないほど阿呆じゃない。母の為にも死なない程度に死ぬ程感謝して生きていきたい。
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