土気色の地面の上を、子供たちが駆け出す70年代ブルックリン。路上に集う人々、「健康な街、清潔な街」という立て看板が掲げてありながら、健康でも清潔でもないわい雑な街。アフリカ系アメリカ人のカーマイケル一家はクリントン（カールトン・ウィリアムス）、ウェンデル（シャリフ・ラシュド）、ネイト（クリス・ノウィングス）、ただ一人の女の子トロイ（ゼルダ・ハリス）、末っ子のジョセフ（ツィーマック・ワシントン）と5人の育ちざかりの子供がいた。だが大黒柱なはずのダディ（デルロイ・リンド）は売れない音楽家で、芸術性にこだわるあまり生活は貧しかった。マム（アルフレ・ウッダード）は家計のために昼夜問わず働き、子供たちには口うるさく接するが、良識ある人間に育てようとしていた。母親に怒られ、父親に泣きつく日々の中で母の目を盗み、夜中にこっそりテレビを見るのも楽しみの一つだった。平凡な家の中の日常とは裏腹に、一歩表へ出ると近所のチンピラ兄弟（スパイク・リー）がシンナー代欲しさに子供たちを脅迫し、隣人とは犬猿の仲でトラブルばかり。そして家の中でもついに、金にならない曲ばかり書いている父に母の怒りが爆発した。

　『モ'・ベター・ブルース』同様にスパイク・リーの自伝的物語は、貧しい大家族の暮らしぶりを伝える。家族の生活は一向に楽にならず、両親の心労ばかりが増して行く。そんな中、ただ一人の女の子トロイが親元を離れて暮らすことになり、1枚岩だった家族の関係はギクシャクし始める。初めは一家からの離脱を嫌がっていたトロイも、いとこのヴァイオラとは仲良しになるが、厳格でデリカシーのないソング叔母さんのことは好きになれない。小さな女の子の生の目を通して切り取られたブルックリンの暮らし。ここでも『モ'・ベター・ブルース』同様に、麻薬中毒者を描くことで黒人たちの救いの無い暮らしぶりが描かれる。NBAのバスケ、ブラウン管から流れるSOUL TRAINの映像、バット片手に夢中になったベースボールが、スパイク・リー扮するシンナー中毒者の吸引描写と対比され、描かれる。淡々とした物語ながら、マムの死が逆に家族の一致団結をもたらす。ただビスタ・サイズの画面に突如登場するシネスコ・サイズにより、映像の不鮮明さは何とも言えない後味の悪さが残る。

記録。
細長い夏休み。

久々に観たスパイク・リー監督作品はこの騒々しくも愛おしいファミリードラマ。リー自身の幼少期をモチーフにした半自伝的作品みたい。

舞台は1970年代のブルックリン。売れないミュージシャンの父親、肝っ玉母ちゃんな母親、そしてわんぱくな5人の子供たちの大所帯家族が繰り広げる日常が描かれる。

雑然としてようが裕福で無かろうが幸せな場所。親戚の家に預けられた末娘トロイの成長譚には、やっぱホームがイイんだよねぇって微笑ましくなる事請け合い。

…なんだけど、預けられてる間映像のアスペクト比が変わる演出はどうかと思う。意図は分かるが全てが細くて見づらいしもっとやり方無かったもんかねぇ。

一般家庭の特に変哲の無い日常に終始する内容なのでちょっと地味な気はするけど、なかなかに鑑賞後観の良い佳作。

シンナー

70年代のブルックリン
そこに、売れないミュージシャンの父親と働き者の母親、そして5人の子供たちからなる賑やかな家族が暮らしていた
パパは子供たちに優しいが、仕事もなく金にならない曲ばかり作っている
そんな夫に愛想を尽かしたマムの怒りがついに爆発し、家族は崩壊の危機に……

スパイク・リー監督が綴るノスタルジックなドラマ

何とも切ない話
引き込まれました

黒人社会を描く
色んな事がありましたが、人との繋がりっていいですね

家族の感じ
子供たちが微笑ましかったです