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エリザベスのtjZeroのレビュー・感想・評価

エリザベス(1998年製作の映画)
3.9
これはもう、主演のケイト・ブランシェットの女王っぷりの見事さに尽きる、と思う。

① 娘時代の、雪のような頬をポッと赤く染めた初々しさ

② 即位前後の、オドオド&キョドキョドした自信なさげな立ち振る舞い

③ 英国を背負う覚悟を決めた後の、眼力の強さとキリッと気高い表情

特に印象深いのはやっぱり③で、腹を括った人間の凄みみたいなものを、まざまざと見せつける。

物語としては、若者が君主になるまでのストーリーで、言ってみれば『ゴッドファーザー』のマイケル・コルレオーネ(アル・パチーノ)みたいなものなんだけど、エリザベスの方は男ばかりが支配する世界を制さなければならず、性差をも超えた覚悟が必要だったはずなので、よりその困難が偲ばれる。

エリザベスの強さと対照的なのが、当時(16世紀)のイギリスの立場の弱さ。
フランスやスペインといった大国の顔色をうかがい、翻弄されている様子がよく伝わってくる。

北方の島国で領土が狭く、資源も乏しい英国は、大国の間で生き残るためにインテリジェンス(諜報能力)を発達させ、情報戦で優位を保っていく方策を採ったという。
その結果、世界最高峰の諜報機関(MI6)を育て上げることが出来た。

諜報つながりでいうと、本作には、あの(現007の)ダニエル・クレイグも端役で出演している。
そしてその役が、英国内プロテスタント勢力を探ってヴァチカンに報告する密使。
もう、この頃からスパイやってんじゃん!
しかも、その諜報活動がばれて、『カジノ・ロワイヤル』ばりの拷問に遭うシーンまである。ごくろうさんでした(笑)。

冗談はさておき(⁈)、コロナ・ショックの後では、イギリスと同じく資源に乏しいわが国は未曾有の危機にさらされるかもしれないので、国民ひとりひとりがエリザベスなみの腹の括り方をしなければいけないのかも、と思わされた。
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