このレビューはネタバレを含みます
2023/07/08鑑賞。65点。
・太ったバカではなく、バカが太ってただけ
・オープニングがほぼ【28週後】・・・とはいっても、28週後のその後がこの作品だと言われれば納得できる質の高い作品。やることなすこと全て悪く転がり、【ミスト】のような後味の悪さとフレンチ・ノワールが持つモヤモヤ感・心のつっかえに似た余韻が堪能できる。
〈あらすじ・ネタバレあり〉
20年前の1981年。
世界中にウィルスが蔓延し、感染者はゾンビになった。
ゾンビ化した父親に母親を殺されたケイトは成長し、現在は医師として病院に勤務している。
彼女の仕事は、【リターンド】と呼ばれる人々の治療をすること。
【リターンド】とは、ゾンビに襲われながらもゾンビ化しなかった人々を指し、彼らは抗ウィルス薬を注射することでゾンビ化せず人間として生きられる。ただし、抗ウィルス薬を打たなかった場合は36時間以内にゾンビ化してしまう。
リターンドは、人間でもないゾンビでもない異質な存在であるため、一部の過激派からは排除するべきだと差別されていた。
ケイトが同棲している恋人・アレックスはミュージシャン。
彼は6年前、ギターを買いに寄った店でゾンビに襲われ、リターンドになってしまった。
病院に搬送されたアレックスの担当医がケイトで、その出会いがきっかけとなって交際に至った。
ケイトはこれまで同じ病院に勤めるイヴから、抗ウィルス薬を横流ししてもらっており、アレックスのために使っていた。
ある夜ケイトが夜勤のため病院にいたところ、銃を持った覆面の男たちが侵入してくる。
彼らは、入院中のリターンドたちを皆殺しにし、すでに退院済みのリターンドのリストを奪って姿を消す。
そんな中、次々と厄介事が起きる。
リストを手に入れた病院襲撃犯の1人が自宅を襲撃し、ケイトとアレックスは襲撃犯を殺害。死体を湖に捨てる。
抗ウィルス薬の製造に必要な材料が不足しているという噂が広まり、1か月以内には抗ウィルス薬が尽きる可能性があるとも。反リターンド派は、抗ウィルス薬製造施設を襲撃しているらしい。
政府は、材料不足を否定するものの、リターンドを一時的に収容する声明を発表。3日間の出頭期限を設け、もし出頭しなければ情報を開示するという。
ストックしておいた114本の抗ウィルス薬を持って、アレックスと一緒に自宅を出て身を隠すことにするケイト。
そんな2人に対し、アレックスの20年来の親友・ジェイコブと彼の妻・アンバーが救いの手を差し伸べる。
2人の言葉に甘え、ジェイコブ夫妻の別荘に4人で泊まる。
アレックスが出頭しないため、警察が所在確認のためケイトの手に現れる。
ケイトは咄嗟に、「アレックスを殺した。彼の死体は湖に捨てた」と嘘をつく。
湖には、反リターンド派の襲撃犯の死体があるため、腐敗が進んでいたその死体を警察はアレックスとして処理。
警察は恋人を殺したケイトに同情し、逮捕はしなかった。
ケイトは、「60日分の抗ウィルス薬を手に入れた」というイヴと取引をするために金を持って彼女の家に向かう。
しかし部屋の中でイヴは死んでおり、抗ウィルス薬は奪われた後。
殺したのはアンバーだった・・・実は彼女もリターンドであり、抗ウィルス薬を手に入れるためジェイコブと一緒にケイトとアレックスを騙したのだ。
ケイトがストックし続けていた113本の抗ウィルス薬を奪い、1本だけ別荘に残してジェイコブとアンバーは完全に行方をくらます。
その1本を投与したアレックス。
36時間以内に抗ウィルス薬が必要なため、ケイトは院長に相談するべく病院へ向かう。
院長は、優秀な研究者や医師が感染した場合に使うために極秘に管理されている50日分の抗ウィルス薬をケイトに渡す。
ケイトは、以前担当した元患者の父親に抗ウィルス薬を奪われ、取り返すために車で追いかけたところ彼を轢き殺してしまい、抗ウィルス薬も全て破損する。
アレックスは、ケイトを傷つけてしまわないように自分自身を手錠と首輪で壁に繋ぐ。
ゾンビになってしまう前に自分を殺して欲しい・・・アレックスの最期の頼みを聞いたケイトは、彼の頭を撃ち抜く。
放心状態のケイトは気づくと、病院の駐車場にいた。院長が近づいて来て、「既存の上位互換となる抗ウィルス薬が開発され、配布され始めた」と報告してくる。
あと少し待っていれば・・・もう少し早く病院に来ていればアレックスは救えたかもしれない。
深い後悔が残る。
数ヶ月後。
ケイトは、アレックスと一緒にいつか住もうと言っていた一軒家を購入して移住する。
彼女のお腹の中には、アレックスとの子どもがいた。
子どもとの新たな人生・・・とはいかない。そんな簡単に切りかえることもできず、ケイトはジェイコブとアンバーに復讐するため彼らを追跡し続けていたことが明かされてEND。
