くろみまりこ

シェフ 三ツ星フードトラック始めましたのくろみまりこのレビュー・感想・評価

4.0
料理映画でもあるし、親子の絆を描いた家族映画でもある、またロードムービーでもあるし、声を出して笑えるようなコメディ要素や役者が音楽にノリノリになるミュージカル要素もある。そして主人公や息子の成長譚でもあれば、バトルで始まりバトルで〆る対決モノでもある。
これらが薄すぎず濃すぎず説教臭くない演出で"味つけ"され、「いいから食べてみなって!おいしいよ!」と、スクリーンというお皿に乗って我々の前に置かれる。
そんな映画。

料理人の動きだけでなく、プレートの上にひかれる油やステーキの断面図、鮮やかなソースやドーナツの揚がる音などの"アクション"こそがフード映画の醍醐味。食材の演出が素晴らしかった。企業との軋轢から離れて「本当に自分が作りたいもの」を見つめ直すこの作品は、アイアンマンシリーズの監督であるジョン=ファブロー自身の映画への姿勢があらわれているのだろう。

「そこまで大きな話題にはならなかった作品だよね?」と聞かれたら「騙されたと思って食べてみて!」と返したくなる。
万人におすすめできるおいしい作品。