茜

痴漢ドワーフの茜のレビュー・感想・評価

痴漢ドワーフ(1973年製作の映画)
3.6
なんつうストレートなタイトルだよって感じだけど、これは痴漢ではなく監禁なのでは…。
何はともあれ小人俳優トルベン・ビレの顔面が頭から離れなくなるポルノ成分多めな怪作。

小説家志望の夫と、それを献身的に支える美人妻。
そんな夫婦が越してきたオンボロアパートでは、女家主と小人症の息子が屋根裏部屋に女をヤク漬け監禁して売春させている。
勿論、越してきた妻は親子の新たな標的になり…という話。

極悪親子のキャラクターが強烈。
小人症の息子はニコルソンばりの顔力でニターッと笑うし、沢山のおもちゃを抱えて杖をつきながらヨタヨタ歩く。
口元に涎をためて夫婦の部屋を覗き見している時の表情には嫌悪感すらおぼえてしまう...素晴らしい名演技。
かたや母親は元歌手という事もあり、派手な化粧と衣装を身に纏って度々友人にご自慢の歌を披露するんだけど、そんな様子もどこか狂気じみてる。
どうしても息子の方に気を取られがちになるものの、全ての元凶はこの母親であり、彼女の行動や言動からは息子に対する愛情も感じられない。
本作はラストショットが凄くかっこよかったんですけど、その点を踏まえて観ると何とも虚しい気持ちになったり…。

監禁されている女性は皆全裸だし、売春させてるという事でキワドいシーンも多めだけど、邪魔なモザイクは一切入れないという心意気。
黒い背景にカタカタ動くおもちゃ達の映る、ポップさと不気味さが合わさった絶妙なオープニングもかっこいい。
茜