きよぼん

ザ・ウォークのきよぼんのレビュー・感想・評価

ザ・ウォーク(2015年製作の映画)
5.0
オールタイムベスト10に入れるくらい大好きな作品。劇場でみて以来の鑑賞。大分前に円盤買ってたのに意外と観ないのよな(*´∀`*)

対をなしてそびえ立つワールドトレードセンター。北棟と南棟の距離42m。高さ110m!の二つのビルの間を綱渡りを行った天才フィリップ(ジョセフ・ゴードン=レヴィット)の”アート”な行動を映画化した作品。

こんな大作戦は天才ひとりの力だけではできない。彼を支える仲間、恋人たち。彼らがNYの街で、建設途中のワールドトレードセンターへ忍び込んで情報収集、綿密な作戦をたて、実行に移す。この大人のいたずらのワクワク感がいい。遊びは真剣にやるほど楽しいのだ。

もしこのプティが行った作戦のようなニュースが流れてきたなら、SNSで叩かれまくるだろう。きっと自分もそうする。だけど、こうやって映画になると心動かされるのは、なぜなのか。

それはきっと社会のルールは守られるべきという常識と、こんな下らない常識なんか壊れてしまえ、という相反する二つの気持ちが人の中に存在するからだろう。それは一貫性がないとか、矛盾していることではなく、両方存在するのが正常なバランス感覚ではないか。綱渡りのようにね!

両方あってこその人間だよなあ、なんていう感覚を思い出させてくれるのが素晴らしいのだ。

作戦を終えた彼は、警官に手錠をかけられ一階に降ろされる。屋上でプテイを必死になって止めようとしていた警官が、部屋で二人きりになったとき、「あんなもんは二度とみれないだろう。グッジョブ!」といってプティに声をかけて去って行く。このシーンがたまらなく好き。あの警官が、まさに綱渡りのように常識と非常識の間で生活する人間そのものなんだよなあ、と泣けちゃうのよ。

下から見上げたときのギュイーンと屋上まで移動するカメラ、落下していくチェーンでわかる圧倒的な高さ、言わずもがなの屋上からのNYを見下ろす壮大なカットなど、映像的なお楽しみもある。今回見直してみても、やっぱり自分的オールタイムベスト10に選ぶ作品。
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