『悔しいけど、最高に面白かった。』
これに尽きる。
西部開拓時代のアメリカ、極寒の山奥。
全てを奪われた男の、復讐の旅路。
全編、息をつく暇が一切ない緊迫の展開。
恐ろしくも美しい圧倒的な自然の描写。
まるで、その場にいるかの様な音響。
間違いなく現代映画最高峰の撮影。
そして役者達の燃える様な熱演。
レオ念願のアカデミー主演男優賞獲得作であると同時に、それ無しでは本作の魅力は成立し得ない。
『役』になりきり、俳優自身の『個』を消す事を最高の演技とするなら、演技賞が話題になる事自体が鑑賞のノイズになり得ると個人的には思っているのだが、
本作に関してはそれすら杞憂。これだけの話題性をもってしても、画面のどこにも『レオ』は不在。居るのは復讐に燃える瀕死の男『グラス』のみ。これは凄い。
これで主演男優賞獲れてなかったら、もう訳が分からない。
イニャリトゥ監督は賞レース的な狙いが明確・かつ結果もしっかり出す という実に鼻につく男で、本作もその点では例外ではないのだが、
そういう雑念が入る隙を許さない展開、
主演の熱演がダイレクトに作品の良さに直結する構成、
映画としての圧倒的熱量
により、時間を忘れて観入ってしまった。
イニャリトゥ上手いなぁ!
完全にねじ伏せられた!
凄いものは、凄い!