『日本よ、これが映画だ』
例のコピーが本作のものだったら、文句言えなかったですよ。いやぁ凄い映画だ。
父が急逝した事で一人残された息子と、その後見人に指名された叔父の物語。もうこの位の知識で観て欲しい。
観客と地続きな場所に居る等身大な主人公達を、抑えた演出で描く。
彼らが劇中で進む一歩は他人から見たらチッポケに違いないけども、そこには沢山の苦悩があって、ちょっぴりのユーモアがあって、精一杯の勇気がある。
そのかけがえのなさを描いた作品。
僕達の人生は正にそういうものですから。
超人じゃないし、魔法も使えないし、奇跡や運命とも基本的には無縁な訳で。
でも地味な、小さな一歩もそれらに負けない位素晴らしいんだぜ、美しいんだぜ、というね。こういう映画は人生を肯定してくれると思うんですよ。
大袈裟かも知れないですが、映画を観る意義のひとつが本作にはあります。
多くの人に観て欲しい。
余談
ピンと来た人もいるでしょうが、本作からは『小津安二郎』作品の様な様式美や世界観・価値観を感じる事が出来ます。
しかも作り手として相当高度。何だこれは。
現代アメリカ映画やろ・・・。
日本人として少し悔しい気持ちも抱きましたね。