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悪魔は誰だのHiiiraiiiのレビュー・感想・評価

悪魔は誰だ(2012年製作の映画)
4.0
2014.10.8 ヒューマントラストシネマ渋谷

今から10年前、現在では世界的映画監督になりつつある韓国の映画監督ポン・ジュノの『殺人の追憶』が日本で公開された。その映画のチラシには日本の映画監督阪本順治がこう賛辞を述べていた「黒澤明の孫が、韓国に生まれた」

それから10年、今は韓国映画の質の高さはクライム・サスペンスに限らず史実を扱った戦争ものから恋愛ものまでオリジナル作品ながら質の高い映画が多い。もちろん日本で公開される映画は本国で一定評価を得ている作品が来るのだから全て良いというのも頷けるが水準は高い。本作もクライム・サスペンスであり『殺人の追憶』同様、時効をテーマに描かれた映画である。

15年前我が子を誘拐によって殺された母親の元に刑事が訪れる。時効を告げる為に。その惨い事実に怒りを覚えるのは母親だけではなくこの刑事も15年間犯人を追ってきたのだ。そして時効間際に当時の犯行現場に一輪の花が添えられていた。監視カメラから男を追いつめるのだが後一歩の所で犯人を取り逃がすのだった。そして時効は成立。しかしまた警察をあざ笑うかの様に同様の模倣した誘拐事件がおこるのだった。

物語の展開だけでなく遺族の無念や犯人の思惑と意外な事実一つ一つの細部が描かれ単純ではない深い部分の深層心理が垣間みれる。きっとこの部分に阪本順治は「黒澤明の孫が、韓国に生まれた」という賛辞を送ったのだろうし黒澤明の『天国と地獄』に通じる部分があるのだろう。

物語を進行する役者たちもやはり魅力的。韓国の役者は汚く汗臭い。これはもちろん良い意味での事。日本映画の役者たちはキレイに撮られ過ぎだと私は思います。
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