三郎丸

沈黙ーサイレンスーの三郎丸のレビュー・感想・評価

沈黙ーサイレンスー(2015年製作の映画)
4.5
 M.スコセッシ渾身!遠藤周作原作の「沈黙」
コレは時代を超えても伝わるような素晴らしい作品でした。
 日本文化や日本映画(中国人扮する謎の言語を話す日本人は、出てきませんヨイ!)に造詣の深いM.スコセッシ監督の真摯さと、原作や日本に対する敬意が作品の随所に散りばめられております。

 本作は、映像で圧倒しつつ、注目すべきはBGMや音楽が使われず、風の音、虫の鳴き声、葉や草のそよぐ音で「沈黙」の世界観はおろか、日本文化すらを見事に表現している事に脱帽です!

 汚し入れた登場人物、寂れた村の様子という世界観の完成度。
 私が個人的に気になっていた「何処かおかしな日本」が出て来ない事に驚きです。
【空手の誰得バトル&伝説のサムライソード】
等々…が出てきたら失笑と共に即座に鑑賞を中断するとこでしたが。
(登場人物の日本人が全員英語ペラペラは有り得ないのですが、作品をスマートに見せるには仕方なし…)

俳優陣でワタシが注目したのは…
・窪塚洋介
「人間らしさ」を良く表現されていました。本来人間なんて、高尚な生き物ではないですから…ガッカリして見つつも、何故か親近感覚える方は沢山いるかと思います!
・イッセー尾形
堂々とした素晴らしい演技と存在感。
・リーアム・ニーソン
画面に出てくるだけで滲む「大モノ感」
・塚本晋也!※個人的に本作のMVP
まず存在感。
 そして本作では、絶対絶対リアルガチに、お水を山ほど飲んだはずです!(バラエティー番組であれば、出川哲朗かダチョウ倶楽部が身体張ってやるヤツやってますヨ!)

 実は、今も絶える事の無い宗教に対する不条理の苦悩と苦痛、人としての倫理観に何度も心を締め付けられました。
 信者として信仰心を貫く事と人として取るべき判断の選択、また、気持ちや心の弱い人間、抑圧に屈して信念を曲げる事は本当に罪なのか?
タイトルの「沈黙」が何を意味しているのか?
 作品の最後の10分弱のシーンに集約されていると思います。

 テーマがとっつきづらい方もいるかもですが、観れば最後、鑑賞者をマーティン・スコセッシがエンディングまでグイグイ引っ張ってくれますヨ!
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