ペコリンゴ

SCUM/スカムのペコリンゴのレビュー・感想・評価

SCUM/スカム(1979年製作の映画)
3.8
記録。
そこで強いる者と虐げられる者。

その暴力的な内容から放送禁止になったらしいテレビ映画を劇場映画化した曰く付きの作品。

“SCUM”…クズども。
口汚いタイトルを持つ本作は、イギリスの少年院を舞台に、規律とは名ばかりの暴力、圧力、支配を淡々と見せつけてくる。

そこは一つの小さな世界だ。
あるようでまるで無い秩序が弱き者を心身ともに疲弊させ、逃げ場など当然あり得ない。あまりに閉鎖的な世界は観る者を陰鬱な気分にさせるだろう。

…てな感じでとっても暗い映画です。
箸休めというか気が安らぐポイントも無いし。

最近の映画の暴力描写に比べると、1979年の本作のそれはそこまでゴリゴリのバイオレンスって感じではない。でもそれが逆にリアルなんですよね。

眉を顰めたくなる終盤の展開と、それでも何事もなく変わらぬ「日常」が維持される事を示唆するラスト。このラストがある意味一番クるものがある。

何かの中に収まっていては何も変えられない。それは塀の外のこちら側も同じなんですよね。そんな事を考えさせる作品でした。