umisodachi

雨の日は会えない、晴れた日は君を想うのumisodachiのレビュー・感想・評価

4.8
細かい感想や解釈はこちらに書いた。

https://theriver.jp/demolition-review-2/

セリフに多くを頼らず、映像と芝居で表現していく手法。「破壊」という映像的に派手な要素と、演者の視線などの細かい要素とが、うまいバランスで組み合わさっていて、なんともいえない爽快感があった。(ストーリーとしては気持ち良いものでもないのだけれど)

明確な泣かせどころがあるわけではないが、私は冒頭から何度も涙を流した。うまくは表現できないのだけれど、妻の死をきっかけにして立ち上る登場人物たちの感情の層みたいなもので、身体を取り巻かれている感覚。

主人公も、彼の両親も、妻の両親も、主人公の同僚も、主人公と知り合うことになるシングルマザー親子も、すべての人の人生が蔑ろにされず、丁寧に丁寧に扱われている感じがして、非常に心地良かったのだ。とても、繊細な作品だった。

原題の日本語訳は「破壊」「取り壊し」なのだが、同時に「HONEST」も大きなテーマ。きっと私は、人生に迷ったときに再びこの作品を観るだろう。そう確信できるほど、心に刺さった。
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