うめまつ

雨の日は会えない、晴れた日は君を想うのうめまつのレビュー・感想・評価

4.8
こんなずぶ濡れ裸ん坊で泣いている、顔面濃厚胸板厚男さんの気持ちが手に取るように判るなんてどうしたことだろう。画面の音も色も光もぐんぐん身体に入ってくる。私も同じ景色を見たし同じ空気を確かに吸った。日常が一瞬で昨日までと切り離されて、身体が強力に撥水加工された空っぽの袋みたいになって、降りかかる数多の言葉は一粒も浸透せず、すべての現象は象徴となり、実態は身体をすり抜けて、なのにフラッシュバックのように脳は記憶を再生し続け、今日の季節すら忘れて過ごした日々。今もその延長線上に立っている。デイヴィスは私だ。

奇異の目で見られるであろう破壊行動も、心底羨ましかったし見てて快感だったし私もマイ斧を持参して参加したかった。彼のあらゆる衝動は1つ残らず必要なこと。綻びだらけで騙し騙し生きるよりも、読まれるはずのない手紙を書いて、家電を全部分解して、雑踏をめちゃくちゃに踊りながら歩くべきなのかもしれない。一度きちんと壊れて再生すべきなのかもしれない。せめて身体のネジが錆びついてしまう前に、バラバラに解体して部品を全部並べてみたい。足りないパーツが沢山あることに安心したい。そして不具合だらけなのにずっと耐えて動いてくれてたこの小さな器を労ってあげたい。
うめまつ

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