カツマ

雨の日は会えない、晴れた日は君を想うのカツマのレビュー・感想・評価

4.2
無意識に心がむせび泣いている。自分の心が壊れていることにすら気付けないから、悲しみは知らないうちに押し寄せて、愛する人の幻影は波打ち際へと流れ着く。
印象的な邦題を持ったこの映画。実は題名ほどロマンチックな話ではないと思う。にも関わらず、終わってみるとこの邦題で良かったのだと思えてしまう。壊れていた一人の男が、自分の傷口に触れるまでを描いた奇妙な再生物語。人間の弱さと寂しさに真正面からスポットライトを当てて、その光に包まれたままずっと走っていけるはず。

〜あらすじ〜

突然の交通事故で妻が死んだ。妻の死を告げられた病院のロビーで、デイヴィスはチョコレートを買ったが、自販機は壊れてしまっていた。そこで彼は自販機を運営する会社へと苦情の手紙を書くことにした。
その手紙には妻が死んだこと、そして妻を愛していなかったことが書かれていた。手紙を受け取った顧客係のカレンは電話口でデイヴィスと話すたび次第に彼にシンパシーを感じ始める。
デイヴィスは文通のかたわら金融業の仕事も黙々とこなしていたが、次第に手近なものを破壊するようになっていき、ソリの合わない義父とも対立するようになっていくことに・・。

〜見どころと感想〜

映画の予告編を見ると、あのジェイクが比較的普通の役を演じるの?と思わせたけれど、そこは期待を裏切らない。今回のジェイクもやっぱりかなり変な人でした(笑)そしてジェイク史上トップクラスにカッコいい大人を演じていることも特筆すべきかと思います。(だいぶ感覚はズレてはいますが)

どこかシニカルで他人目線のような冷たさで淡々と描かれる物語。全くポップなドラマではなく、キャッチーなラブストーリーでもない。そこは『ダラス・バイヤーズ・クラブ』を撮った監督ジャン=マルク・ヴァレ作品ということでフランス映画の香りが仄かに香ってきます。優しいラストカットと弾き語りのエンドロールが、忘れ得ぬ余韻を残していく作品でした。
カツマ

カツマ