鍋レモン

Love Is All You Need?(原題)の鍋レモンのレビュー・感想・評価

Love Is All You Need?(原題)(2011年製作の映画)
3.6
⚪概要とあらすじ
同性愛者が多数派、異性愛者が少数派という「逆転」の世界を描いた短編。

カリフォルニア郊外に住む10代の女の子・アシュリー。2人の母、2人の祖父、2人のおじ、そして弟が1人と、「完璧なアメリカの家族」の中で生まれ育った。
この世界では、同性同士が愛し合い、結婚するのが「普通」。男女が近づくのは政府が定めた「ブリーディング」の期間だけで、それ以外でも関係を持つものは「ブリーダー」「ヘトロ(ヘテロ)」と揶揄され差別を受ける...。

⚪セリフ
「この映画は全て実際に起きたいじめのストーリーを再現しています」

⚪感想
多くの方に観てほしい20分程の短編作品。

YouTubeで字幕付き+監督のインタビュー付きのものがあるので少しでもジェンダーについて関心や興味がある人は是非!!!!!!!

映画の世界では同性愛がマジョリティであり、異性愛はマイノリティ。
その中で主人公のアシュリーは男の子を好きになってしまったためにいじめられる。

同性愛を扱った作品はいくつかあるんだけど異性愛の人から観ればある意味安心した場所からの同情の感想になってしまうんだけど、今作では同性愛がマイノリティでいじめの対象であるため鑑賞側が違った感覚を味わうと思う。

子供たちのいじめがかなり過激に見えるけど、「この映画は全て実際に起きたいじめのストーリーを再現しています」と引用したように実際に起きたこと。

教材になってもいいような作品。
監督のインタビューでは学校で公開したことで解雇されそうな教師の話が出てくる。
実はジェンダーというよりもいじめによる自殺というテーマが先行して作られた作品みたい。
その後クラウドファンディングでお金を集めて長編も制作したよう。

なんかこの作品に両性愛者やトランスジェンダーの人が出てこなくて怒っているレビューがいっぱいあった。
推測なんだけど居なかったんじゃなくて言えなかったのではって思った。バイセクシャルであれば両性愛者であれば虐められないから同性愛者よりに振る舞うと思う。
トランスジェンダーについては今回性的指向といじめについてがメインだったので身体の性と性別の不一致は入れこまなかったんだと思う。
現実でもたくさん居るはずなのに言ったらめんどくさいから全然いないじゃん。映画でも出てこない方がリアリティを感じる。

他にも結構批判的なレビューが割とあって悲しい。偽善だとかあって割とショック。そうなのかな?

私たちの住む世界ではたまたま異性愛の人が多かったからこうなっただけで映画と世界も有り得たと思う。

「普通」という言葉ほど価値観があやふやで安定しないものはないといつも思う。
つい使ってしまうんだけども。

⚪意見
『チョコレートドーナツ』で色々書いたけど最終的にはどうしても受け入れられない人は気にしないでいればいいに行きついた。多種多様な人間だから絶対同性愛が受け入れられない人がいるんだけど、何故か受け入れられないから攻撃する、批判するとういう行動になる人がいる。

ここ数年ジェンダーも進化して「LGBT」はもうかなり古い気がする。ジェンダーを語る上でよく使われるんだけど「LGBT」だとかなりの性のあり方がこぼれ落ちている。

ジェンダーについて考え出すと結局は身体の性は置いといて性別や性的指向はグラデーションだと思う。身体の性をなしに自分は女だとか男だとか判断するのは案外難しい。青が好きだからとかピンクが好きだからはステレオタイプだし。性的指向においても異性愛者を主張していても好きになった人が見た目は異性でも実は性別が違うとなればその人自身が同性愛者や両性愛になるかもしれない。結局は凄く不安定で明日には変わっているかもしれないことだと思ってる。

最近は無性愛も少し広まってきた気がする。自然に知ってそういう人も居るんだなって理解できるのならいいよね。

個人的にジェンダーは学んでいきたいと思っているから「アセクシャル」と「ノンセクシャル」の違いとか「オムニセクシャル」と「パンセクシャル」の違いを調べた。思っていたよりも細かく分かれていて興味深かった。

⚪鑑賞
配信サービス。
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