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キングスマンのshxtpieのレビュー・感想・評価

キングスマン(2015年製作の映画)
3.5
エドガー・ライトやジェームズ・ガンらに代表されるようなベタとネタの厚塗り、積み上げによってジャンル映画を内破し、突破口をむりやりこじ開けてしまう手法というのは、ポスト・タランティーノ世代におけるオタク的な映画監督たちにとってある種の必修課題になりつつある。なにせ『キングスマン』は『スキャナーズ』のあの超有名なシーンをおそろしくくだらない方法でネタ化してるから、もうこれはとんでもない。馬鹿だ。『キングスマン』の観客は口をあんぐりと開けて呆気にとられるか、その悪趣味さを心底憎んでマシュー・ヴォーンに対して悪罵の限りを尽くすか、あるいは腹を抱えて大爆笑するかしかない。アナル・セックスのくだりとか、ほんとうに馬鹿だ(ダムゼル・イン・ディストレスをメタ化できていないので、女性はおこってもいいと思う)。それにしても、紳士や貴族階級と(英国で社会問題化している)貧困家庭のチャヴの少年をとんでもな軽いノリで、それこそオタク的というか腐女子的なセンスで“カップリング”させてしまうのにはちょっと感動した。

コリン・ファース=ハリー・ハートがあまりにもかっこよすぎるので、彼が退場してしまう後半はなんだかしまりがないが、ジェームズ・ボンド パロディーの舞台装置でむりやり乗り切ってしまう。サミュエル・L・ジャクソンでしかないサミュエル・L・ジャクソンはくどく、ヴィランとしておそろしく魅力に欠ける。次作で「実は死んでませんでした〜」とコリン・ファースが出てくる確信がある(って思ってたら、やっぱり続投するんだね)。
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