小松屋たから

ゴジラ キング・オブ・モンスターズの小松屋たからのレビュー・感想・評価

3.8
ゴジラもキングギドラもモスラもラドンも映像的にはやっぱり凄かった。神々しいとも言える造形美には圧倒された。ため息が出た。

個人的には昔からモスラが好きなので、ラドン(奴も中々いい味を出していたけど)への、一刺しに痺れた。あの曲の使用も嬉しい。双子設定も形を変えてだけど微妙に残ってたし。

結局、この映画は、多くの方がご指摘されているように、怪獣たちの個性豊かさに比べてかなり魅力に乏しい人間たちをどう考えるかで評価が分かれることだろう。

社会も国家も存在しないも同然のこの「ユニバース」の中では、怪獣に対する姿勢が、大まかに言えば、「共存したい派」「殺してしまいたい派」「利用したい派」と別れているのだが、途中からその構図が完全にぐちゃぐちゃになっていて、それぞれが自分の行動原理をどんどん失うか変えていくから、誰の考えにも同調しにくい。

主人公の妻が、ブレブレの言動を繰り返して自己中心的に世界中の被害を絶望的に拡大させていながら最後も自分の娘のことしか考えていない、いくつかのガジェットの設定が雑過ぎる、民間(?)部隊、環境テロ集団のポリシーや組織形態が曖昧、等々、疑問は多々。…でも昔の日本の「ゴジラ」シリーズもいい意味でこういったB級テイスト満載だったから、それも踏まえて、アリかどうかは観る人次第だろうか。

ひとつ、これもこの「ユニバース」のルールに基づくのだろうが、「ゴジラを核エネルギーでパワーアップさせる、そのために日本人が自己犠牲・特攻精神を発揮する」という設定は、最初期ゴジラのオマージュかもしれないが、行動理由の根本が異なる気がして、特に今の日本人として受け入れていいのかどうか、それは正直、戸惑った。

まあ、深く考えることなく楽しむと割り切れば、これは過去最大級のスケールとエンタメ感に溢れる壮大な怪獣オペラであったことは間違いない。

ただ、「怪獣愛」は、「パシフィック・リム」(一作目)の方が感じたな…。なんでだろう…新鮮だったから?