新潟の映画野郎らりほう

ゴジラ キング・オブ・モンスターズの新潟の映画野郎らりほうのレビュー・感想・評価

3.7
【カゾク キングオブモンスターズ】


「東京物語」に於いて既に小津は『家族とゆう共同体は幻想に過ぎない』と顕示したわけだが、では21世紀今現代に尚“家族たろうとする事”は果たして何を意味するのだろうか―。
幻想でしかない家族は、最早 想像上の怪獣と同義の滑稽と鬼胎の存在であるとゆう事か。

冒頭の加熱し過ぎたトーストと卵が後のメルトダウンを暗示すると同時に、この家族そのものが既に臨界に達している事を告げる。
成る程「カゾク」と片仮名表記すれば ゴジラやラドンに比肩しうる強い怪獣に思える。

彼等怪獣達を後景 ーBGMならぬバックグランドビジュアルー にした“ホーム”ドラマ。その温かな団欒の図に戦慄する。
依存、執着、優しさとゆう名の責任放棄と押し付け自己責任。臨界を迎え尚(機能不全)家族に固執すれば、(周辺)世界滅亡を齎す事は件の川崎小学生殺傷(奇しくも本作公開と同時期である)他を挙げる迄もあるまい。

それらを前に 自然/環境問題や原子力等を感取するだけでは、即時的現社会危機に対しあまりに灯台下暗しである。
この家族の行う 強い繋がりに伴う周辺社会殲滅の(無自覚或いは盲執的)異常性 ― その優れた異化が齎す小さな ー然し大きなー 疑符に是非目を向けたい。




《劇場観賞》