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イルカと少年2のyamadakabaのネタバレレビュー・内容・結末

イルカと少年2(2014年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

イルカを愛する少年の旅立ちの物語。

映画のストーリーとしては、キャラクターの葛藤やコンフリクトなど抑えめですが、なんといっても、尾びれを失ったイルカ・ウィンターをはじめとしたイルカたちやアホウドリのルーファスの演技がすごすぎる。(CGのとこもあるけど)

ウィンターの世話係を続けていた少年・ソーヤが、次のステップへと進むために別れと旅立ちを選択する青春物語。
「ひとつの扉が閉まる時、別の扉が開く。人生は可能性に満ちている」という劇中のセリフであり、映画を締めくくるソーヤのオフナレが言い表している。

映画だけを見れば、この言葉は「大好きなウィンターとの辛い別れに立ち向かい、次への扉を開いたソーヤのこと」を言っているのだけれど、映画の本当のメッセージはそれだけに終わっていないと思う。物語が終わり実話を元にした映画によくみられるが、最後にドキュメンタリーシーンが挿入される。通常と違うのは、そのシーンがエンドロールに使われるのではなく本編の一部として使用され、また非常に長い時間、映画ではあまりフューチャーされなかったシーンが描かれること。ウィンターやマンデイ、ホープの救助シーンがドキュメンタリーとして描かれるだけではなく、そんな救助された動物たちを見学にきた体に障がいを持った人々が水族館に訪れ、ウィンターと交流するシーンが長く描かれている。これは、尾びれを失ったイルカと交流し、別れの決断をしたことでソーヤが「ひとつの扉を閉じ、別の扉を開いた」ようなことを、実際にたくさんの障がいを負った人(や、きっとその周りにいる人)が同じ経験をしたことを示しているのだと思うが、それが映画のストーリーに描かれている以上のものを考えさせられる構成になっていると思う。

ほかにもモーガン・フリーマン演じる教授の言葉に興味深いものがあった。
「いい時計だが、ずっと箱の中だったから針が止まった。時々振ってやらないとダメだ。世界は広い。居心地のいい箱から外へ出ろ。チャンスに満ちている。」
ウィンターを残して3ヶ月の海洋研修に出ることに悩むソーヤ。チャンスに挑戦しないことの損失を、餞別の時計を使って気づかせてくれた一言。ただ忠言するより、まずは自分で気づかせるところがすばらしい。
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