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終わらない週末のyamadakabaのネタバレレビュー・内容・結末

終わらない週末(2023年製作の映画)
2.0

このレビューはネタバレを含みます

極限状態に追い込まれた二組の家族を通して、終焉へと向かうアメリカを描きだしたサスペンススリラー。

なにが起きているかわからない不安と苛立ち、大量の鹿が現れる不可思議な現象や超音波による怪奇現象、長男の突然の病など、迫り来る恐怖と攻撃されてるのかもしれないという怯え。映画全編を通してそういった気分が徐々に醸成されてクライマックスを迎え、アマンダたち2組の家族はある種の気づきを得る...というところで終わる終末映画。

この映画では、一般市民である家族の視点から描かれている。そのため、世界でなにが起きているのかも、その家族が知っていることしかわからない。で、この家族はなにも状況把握できてないので、当然視聴者にもなにもわからない。
なんとなく、他国から攻撃されてるのかもな?サイバー攻撃とか細菌兵器とかなのかな?と想像することはできるけれど、映画の中で答えが描かれるわけではない。
得体のしれない怖さ、想定外のことへの恐怖、でサスペンスを演出する方法もあるだろうから、いいのだけれど、全編通してただただ謎の恐怖が続くだけで、で、映画が終わってしまうところが、正直物足りない。

巻き込まれた登場人物も、ただよくわからない状態で巻き込まれているのが続くだけで、終始変化しない。
よくわからない謎に直面した登場人物たちが、危機を乗り越える過程で本性が現れたり、自己犠牲したり、辛い選択をしたり、それによって成長したりすれば、まだよかったのに。人種間の断絶が表現されていたり、根強く残る差別意識をもつ人物設定としてアマンダがいたりするのに、そういった設定をストーリーの中で展開させたかというと、そういうわけでもない。
フレンズ最終回にこだわる娘が、ネット環境を使ったnetflixとかのサブスクじゃなく、核シェルター内で見つけたDVDで見ることができた、というのも、皮肉ってことなのか、新たな旅立ちってことなのか、フレンズ未見のため意味合いがよくわからなかった。

予測プログラミングと思われるものが至るところに散りばめられていたり、カメラワークがおもしろかったり、見飽きない部分もあるのだろうけれど、こんなディストピアが待ってるかもよと作り物の世界観で魅せられているだけといえば、それだけの映画。という気持ちにさせられた作品だった。
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