このレビューはネタバレを含みます
マリオとルイージ、そしてピーチ姫の冒険物語。キノコ王国へのクッパ大魔王の侵略・世界征服の野望を打ち砕くためマリオたちが活躍する。
オリジナルゲームのコンセプトである、「クッパに囚われたピーチ姫を救出しよう」というコンセプトとは全然異なっているけれど、それを差し引いてもよくできていておもしろい。
宮本茂からクリスへ「ゲームのあらすじをそのまま追ったらたぶんおもしろくない」という話をしたそう。能動的なゲームと受動的な映画の違いを設定を変えることで映画なりのおもしろさを追求している。
ブルックリンで配管工をしているマリオとルイージ。
配管工としては失敗続きで、父からも認められていないが、街で起きた大漏水事故をチャンスとばかりに修理に出かけたところで、謎の地下空間に。そこにあった土管から、マリオはキノコ王国、ルイージはダークランドへとワープしてしまう。キノコ王国に迫っていたクッパの一団を倒すべく、ピーチ姫と協力し、ドンキーコングと同盟を結び、クッパを迎え撃つ。
クライマックスはブルックリンを舞台に、クッパに立ち向かったマリオとルイージがふたりでクッパを倒す。
92分と短い尺の中で、ゲームだけでは描かれていないキャラ設定を含めテンポ良く見ることができる。
ヒールのクッパも憎めないように描かれているあたりも、ファンをちゃんと意識している感じ。
エンドクレジットを最後まで見ると、次回作に続きそうな気配もわかる。登場しなかったヨッシーが次回は出てきそう。
音楽もゲームミュージックを上手にシーンに合わせて展開したり、アレンジしてあったりするなど、ゲームファンには憎らしい演出。ジャック・ブラック演じるクッパがピーチ姫への愛する思いを歌う「Peache」の熱唱もコミカルで、笑う。エルトン・ジョンにインスパイアされているそうだけれど、よく表現されている。
ゲーム音楽以外にも、80年代ミュージックが使われ、ゲームリアルタイムの世代にはまる音楽構成になっている。
CG表現も秀逸。ゲームで体験したアクションを本当のように見せたいと言うアクションシーンは、観ていて爽快。冒頭の工事中のブルックリンの街中を横スクロールで移動するシーンは、哀愁すら覚える。特に、マリオとドンキーコングが水の中に浮遊するシーンなど、リアリティある水中シーンに。
どのシーンもクオリティ高い分、90分にせざるえなかったのでは?と思うくらい。
脚本も含め約6年の制作期間があったそう。マリオの家族も、20年前に作ったスケッチを元に作られた父や母を今回初だししている。
ドンキーコングやマリオカートなど、マリオワールドのオマージュたっぷり。ゲームやってる人もやってない人も楽しめるそんな映画だった。