yamadakaba

ちょっと思い出しただけのyamadakabaのネタバレレビュー・内容・結末

ちょっと思い出しただけ(2022年製作の映画)
2.0

このレビューはネタバレを含みます

照生と葉の出会ってから別れるまでを、照生の誕生日である7月26日を遡っていくことで見せていく。
ふたりの男女が恋をし次へ進む、再生の物語。

正義とは何か?とか、人はこうあるべきだ!とか、暑苦しいメッセージが一切ない。
特に大きな事件も起きないし、付き合っていたふたりが別れて、別々の人生を歩むようになる。
ただそれだけのスライスオブライフ。
かと言って、なにも感じないかというと、そうでもないのが面白いところ。
結末を知っていると、そこにたどり着く前段階を見せられた時に、とても客観的になれる。
いわば神の視点。
今回は破局がわかっているふたりの恋愛模様に、どうしても哀愁を感じてしまう。
(むしろそれしか感じ得ない)

松居大悟監督曰く「「過去を思い出していく」ことがすごく意味のあることだと思えました。」のだそう。
起きた出来事自体や、事実は一生変わらない。
誰かが何かをしたことや、何かがかつて起こったことは、その当時もそうだし、
時間が経っても変わらない。
しかし、人は変わる。考え方も変わるだろうし、気持ちも変わるだろうし、経験によっても変わるだろう。
だから、時間が経過して、過去の事実を振り返ってみた時に、見え方やが変わっているのだ。
起こったことは変わらない、だけど思い出す自分が変わっているから、
過去に対する想いも変化する。
すべての起こったことに、いま主体的に向き合うこと。それが過去を思い出す時に意味あることなんじゃないかな、
そんなことを言わんとしているんじゃないかなと思わせられる。

映画自体は、前半にもっと伏線貼れそう。
過去に遡っていく演出も、暗転〜同ポジの時計・カメラワークでシーンが切り替わるのがわかりにくかった。

結局別れるふたりの描き方も、出会いの時点や告白のときから微妙にやりとりがすれ違っていて、
別れる可能性の方が高そうに思えた。

ジム・ジャームッシュの『ナイト・オン・ザ・プラネット』に着想を得て作られた
クリープハイプ「ナイトオンザプラネット」もとに執筆された映画だけあって、長いPVのようでもある。
ちょっとしんみりしたい夜にでも、ひとり観たくなる、そんな映画だった。
yamadakaba

yamadakaba