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トラッシュ!-この街が輝く日まで-のHiiiraiiiのレビュー・感想・評価

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2015.1.24 TOHOCINEMASみゆき座

良心的な映画が特徴のスティーブン・ダルドリー監督の新作の脚本はリチャード・カーティスが執筆したと知った時にはインフルエンザにかかってでも見たいと思った本作。

ダルドリーの『ものすごくうるさくて、ありえないほど近い』の冒険的要素とカーティスの『アバウト・タイム~愛おしい時間について~』の社会派設定を用いたエンターテイメントが融合した良作。この二人が作り出した本作は「正しきこと」という信念がみずみずしく描かれる。

ブラジルのゴミ溜めのスラムで暗号を秘めた財布を拾った事から事件に巻き込まれる三人の少年の物語。2016年のリオ五輪開催を控え急速な経済発展を遂げるこの国の裏側にはいまだ貧困層が十分な生活や教育を受けられない格差社会を浮き彫りにし、その一方裕福な政治家たちが自らの懐に入る金に執着するというどこの国にもある暗部も描き出す。その中で純粋無垢な少年たちが巨大な悪と立ち向かう。そこにあるのは地位や名声や金のためでなく「正しきこと」というベクトルに向いひたすら走りだす子供たちの姿。良い子すぎる映画であるし批判もしにくい映画であるが、この三人の少年たちがひっぱるドラマの展開は躍動感に溢れファンタジーの様に美しい。ピュアな子供達が事件の真相を追うごとに少しずつ大人に成長し子供であるという甘えに頼らず動きだす様に感動を覚えるのだ。

リチャード・カーティスが紡ぐ物語は大好きだ。監督業としては『アバウト・タイム~愛おしい時間について~』が引退作となったがこれからもまだまだ彼の脚本作を見たいものです。
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