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ドクター・ストレンジのシネマノのレビュー・感想・評価

ドクター・ストレンジ(2016年製作の映画)
4.0
完成披露試写にてIMAX3Dで。

本国や公開済みの各国で驚異的な大ヒット、好評を博しているMCUシリーズの新作「ドクター・ストレンジ」。

これは、過去のシリーズ成功を受けて莫大な予算があることもあってかスーパー・クオリティ。
お目見え作品としては、トビー・スパイディ、キャップに並ぶほど好み。

まず、序盤挨拶がわりのバトルでノックアウト。
街中で魔術士たちが繰り広げる異次元のバトル。
私的生涯殿堂入りのノーラン監督作品「インセプション」から着想を得、俺たちがやるからには絶対に派手さでは負けないとでも言わんばかりの圧巻描写。
つかみがバッチリすぎてニヤけてしまう。

主人公は天才神経外科医。イケメン、自信家、傲慢、トニー・スターク的とも言える。彼が大事故に遭い、医者の命とも言える手の自由を失うところから物語は動き出す。
手の自由を取り戻すために辿り着いたのは、外からの治療ではなく内からのもの。すなわち精神。
戦う姿がたまらなくかっこいい、ティルダ・スウィントン演じるエンシェント・ワンとの出会いのシークエンスは脳にクるドラッギーな映像が最高。ここからストレンジの覚醒が始まる。

コメディ要素少なめ?と思ったのも束の間、ここら辺からマーベル得意の笑い要素が随所に用意されている。

正直この尺で最初から描くの大丈夫?とも心配したが、そこはお見事、どんどん完成形に近づくストレンジ、敵とのからみ、膨らむ超スケールの塩梅は見事。全く飽きさせない。

バトルはマーベルシリーズで個人的に好みな「マイティ・ソー ダークワールド」のマレキス戦や、「マトリックス」からもいいところを頂戴し、現実世界を文字通り歪ませまくって、バリエーションも豊富ときて、それが脳で処理しきれないほどのハイクオリティで展開されるのだからたまらない。
ラストの規模がデカすぎる戦いには笑ってしまうが、これはいい意味で。
これはアベンジャーズとは別格すぎるわ。ここまでくると、神を描いたはずのソー1作目がどれだけやらかしてしまっていたのか分かる。

意外とストーリーに関しても、「キャプテン・アメリカ」作品で展開されるような渋さはないものの、よくぞここまでぶっ飛んだ世界観をまとめ上げたなと思う。
専門用語は少なからずあれど、ビジュアルで思いきり分かりやすく表してくれるので、さすがマーベル。

カンバーバッチはハマり役というより、この人がやれば間違いないでしょ的な抜群の安定感でMCUデビューを果たしている。

期待していたマッツ・ミケルセンは、正直これ彼の必要ある?とも思うが、彼がいるだけで観たくなるし、謎の説得力が生まれるのだから正解か。

ヒロイン演じるレイチェル・マクアダムスは、ナタリー・ポートマン、エマ・ストーンを抑えてキュートさはトップ。この人はなぜこんなにも老いを感じさせないのか。

総じて前評判通り、もしくはそれ以上に楽しめる素晴らしい出来。マーベル・スタジオはこんなスパンでよくもここまでの作品を送り込んだと思う。

観るなら絶対にIMAX3Dだが、酔ってしまう人が続出するかも、な一作。
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