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ストレイト・アウタ・コンプトンのwigglingのレビュー・感想・評価

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Hip Hopを聴くようになったのは割と最近で、なのでギャングスタRapのなんたるかを知らない自分には学ぶことが多かった。
とはいえ、本作が描くのはほんの始まりにすぎないんだけどね。抗争で死人が出るのはこの後の世代だし。この続きを観たいと強く思った。

面白かったのは、イージー以外はただの音楽好きであって全然ギャングじゃない事。その音楽オタクっぷりと、挑発的なラップの落差が興味深かった。
ロドニー・キング事件に端を発したロス暴動をはじめ、彼らを求めた時代背景が一連の流れで描かれているのも良い。

そしてショービジネスの残酷さというか、最初は本人たちが作ったイメージなんだけど、売れてしまうとそれが一人歩きして今度は振り回されるようになるというね。多くの才能を潰してきた悪魔がここでも牙を剥く。

今やアップルの役員の座に着くドレーの事を、「ギャングスタがIT企業の取締役かよ」と半笑いで見てたんだけど、諸々腑に落ちるところが多かったのも収穫。

キャスティングの素晴らしさを指摘する方が多いけど、ほんとその通りだと思う。
特にマネージャ役のポール・ジアマッティに心酔。彼は『ラブ&マーシー』でもブライアン・ウィルソンを薬で支配するクズ医者を演じてたんだけど、またしても他人の才能を食い物にする下衆野郎を演じてる。この名人っぷりはナニ?
『ショート・ターム』でラッパー少年を演じてたキース・スタンフィールドがスヌープ・ドッグ役だったのにもオーと思った。

Hip Hopが苦手な人でも全然楽しめるし、むしろ苦手意識を持つ人こそ、何故この音楽が世界の主流になったのかを知るためにも観るべきかと。最高の音楽映画にして最高の青春映画です。
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