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セッションのytのレビュー・感想・評価

セッション(2014年製作の映画)
4.7
秒で時間が過ぎた。そんな感じ。集中、というかずっと自分に響いたままの時間が長く続いたからか。それだけのめり込む力がある映画だった。

超一流と呼ばれる音楽や芸術の頂きへ到達するには、狂気の世界へ踏み込んだ者にしか表現ができないのだろう。

音楽や芸術の世界は人生において1度は通る人が多い道ではある。しかし、同じように練習を重ね、同じような生活をしたとしても、生まれ持った才能を持つ人に同じ努力をされたら歯が立たないのは目に見えたこと。そんな人たちを越える、肩を並べる、またはそのような人材を育成するには、それなりの狂気っぷりが必要になってくるのかもしれない。

だがそのやり方で伸びる人もいるが、萎縮したり全くもって自分に影響を受けない人も居るのも事実。主人公はこのやり方で伸びるタイプの人だったということだ。

始まりは割と温厚というか思っていたよりかは優しめでスタートするなと思ったがつかの間。
上記のことに次第に狂気になりつつある主人公を観るのはハラハラドキドキ、色々疲れる時間が多かった。

根底には家族関係が存在していたが、変な期待を抱くとそれは相手にとって良くない方向へ向かってしまうこともあるということでもあった。ただそれは息子を愛しているからこその期待でもあったので、また複雑な気持ちになる。

高みを目指すための危険さとかつ狂気的な美しさ。それを兼ね揃えたこの映画は一周回って最高と感じる。最後は血すら綺麗に見えた。
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