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ボス・ベイビーのろのレビュー・感想・評価

ボス・ベイビー(2017年製作の映画)
5.0

絵本の読み聞かせもハグも、自分だけのものだった7歳のティム。
そんな平和な日常は突如現れた弟にあっさり壊されてしまう。
昼夜問わず泣いてわめいてパパとママを振り回す、まるで’ボス’のような弟。
寂しさがピークに達したある夜、ティムは弟の秘密を知ってしまい・・・

愛を注ぐ対象は赤ちゃんからペットへ。
次々と愛らしい犬種がつくり出され、赤ちゃんの需要は減る一方。
そんな会社の危機を救うため、新発売の子犬計画を阻止すべく派遣されたのがボス・ベイビーだった。

生まれたときから大人だったボスは仕事一筋。
一方、ティムにとっては両親の愛がすべてだった。
「クビになることの恐怖をお前は知らない」
「家族がいないから僕の気持ちが分からないんだよ」

子ども時代を過ごしたことのないボスに、子どもはこうやって遊ぶんだと空想の世界へ連れていくティム。
補助輪なしでは乗れないよと諦めかけるティムに、「限界を決めずに漕ぎ続けろ。一度できればあとは簡単だ」と励ますボス。
正反対の二人は衝突しながらも、互いにとって大切なものを尊重し合うようになる。

憧れだった肖像画と金色のおまる。
取り戻したかった両親との日常。
望んでいたものを手にしたものなのになぜか心が満たされない。
ふと目にする羊のぬいぐるみ、懐かしむように眺める’FAMILY’のランプ。
二人が辿り着いた答えは・・・

なりきりエルヴィスで満席の飛行機。
メリーポピンズのように黒い傘で降りてくる偽ナニー。
二人を繋ぐ僕のうたは、ビートルズのブラックバード。

華麗な足さばきの登場シーンから、魔法のミルクが切れて普通の赤ちゃんに戻ってしまうクライマックスまで、ボスの振り幅に大笑い。
ほっこりとハラハラを行ったり来たり、イマジネーションの世界が楽しい一本でした。


( ..)φ

いま通っている就労支援では月に一度映画鑑賞会があります。
「きっと、うまくいく」「ワンダー 君は太陽」、今月は「ボス・ベイビー」でした。

劇場に行かなくなって半年が経ちますが、やっぱり誰かと観る映画はいいなって思います。
同じ時間、違うことを感じながら、1つのスクリーンを見つめる。
そういう場があるってなんだかホッとするんですよね。
しかも普段手に取らない映画を観るチャンスにもなっていて、より非日常を感じられる。私にとって気分転換以上のものになっているかもしれません。

ハンスジマーさんの手掛けられた音楽には海賊船がよく似合う。
赤ちゃん行列に’Cheek to Cheek’が流れるオープニングクレジット、最高に胸アツでした!
ろ