フラハティ

ライオット・クラブのフラハティのレビュー・感想・評価

ライオット・クラブ(2014年製作の映画)
2.9
誇り高き、最低な、伝統。


世界最高峰の名門、英国オックスフォード。
約2万人の中の選ばれし10人。
それが"ライオット・クラブ"だ。

イギリスに古くから存在する階級制度。
上流階級。
中流階級。
労働者階級。
近年はその意識は薄くなっているらしいが、潜在的な意識はまだ根強い。
本作については、これくらいの知識があれば大体は理解できる。
ってかこの知識がないと、ただの胸くそ映画っていう印象で終わってしまう。

本作の"ライオット・クラブ"に所属する10人の男たちは、みな上流階級の出身。上流階級の中でも、選りすぐりのエリートだ。
ちなみに、この"ライオット・クラブ"はオックスフォードに実在した"ブリンドン・クラブ"がモチーフになっているらしい。
本作で描かれたことが事実であるかどうかはわからないが、階級制度という古くからの習慣が、現代にまで浸透しきっているという事実は本物なのだろう。


生まれながらに恵まれた人間は、恵まれた人生を歩む可能性は限りなく高い。
生まれながらに貧しい人間は、金持ちやエリートになれる可能性は限りなく低い。
努力で成り上がることができるのは、ある意味では幻想なのかもしれない。少なくとも今のイギリスではね。

どれだけ性根が腐っていようが、何でも金で解決できるし、コネで面倒を揉み消すことだってできる。
"ライオット・クラブ"の人間は、確かに努力してないわけではないだろうが人間的には最低。
自分が上流階級であることを誇りに思っていて、自分より下流階級のやつらには金を掴ませておけばいいという考え方。

実際のところ、上流階級だからこそ非難されることもあれば、賞賛されるようなことだってある。
重要なのは、"ライオット・クラブ"という極めて限定的な集団の中で生まれる、一方的な決めつけ。
彼らは学生であるのに、誰も叱ったり罰することができないという悪循環は、現代の社会にも通じるのかもしれない。
ひねくれた集団と伝統はクソだよ。


オックスフォードでたった10人しか選ばれないクラブがあるなら入りたいって思うよね。
だって選ばれし人間になれるんだぜ。
きっとすげぇかっこよくて、イカしてるんだろうなとか思うけど、実際に覗いてみればそこはクソみたいなとこなわけ。
メンバーはみんな見た目はかっこいいし、頭ももちろんいい。
でもやってることは野蛮で、過去のイカれた社会の構造と似てる。
ルールは社会のものではなく、自分たちが作る。
悪いことをしようが、金を積めば全然問題ない。
こんなやつら社会に出れば失敗すると思うだろうが、そこはコネの社会。
就職はもちろんすげぇとこで、そんな奴らが世界を動かしてんだ。
実は社会も閉鎖された奴らで成り立ってるのかもしれないな。


本作を観終わったあとにおそらく皆が感じること。
こんなクソみたいな奴ら裁かれればいい。
そう感じさせることが本作の狙いで、少なくとも監督は、今までのイギリスの階級制度に対し何らかの思いがある。
上流階級というだけで何もかもが許され、そのために黙認されながら虐げられる国民も存在していた。
そんなクソみたいなイギリスの過去を伝えながら、その悪しき伝統は形を変えながらも今も続いている。
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