「キミみたいな人いちばんキライなんだよね。」
なんて台詞をほぼ初対面の人に言わせちゃう映画がぼくはキライです。
「人の店の窓勝手に拭くなよ。」
脇役の第一声がこんな言葉なのもキライ。
末期の癌患者に抗ガン剤を渡しにきたメグミのあの雑な感じ。正露丸で様子見てみてくださいとちゃうぞ。
末期の癌の息子に付き添わない親。
「調子はどうなの?」なんて、本当にそんな感じで言うと思いますか?
「おまえいくつになった?」
息子が生きてきたことに関心がなかったみたいな質問をした上で、そのくせ絵を描くことを応援してたなんていう矛盾した言葉。
結構まあまあしっかりめに、とんちんかんだなあって思った。
(そもそも岩松了と大竹しのぶを掛け合わせたら野田洋次郎が生まれてきましたってもうギャグの領域)
同じ病棟にリリーフランキーがおるのもイカニモっていうキャスティングだと思ったし、相変わらず意味のある感を纏わせた台詞ばかりだし。
宮沢りえの子供が亡くなったことを野田に伝えにくるとき、髪型がいつもと変えられていたのも解らなかった。
なによりピエタのエピソードは宮沢りえとのものだったから、それを杉咲花ちゃんに捧げたのもそのリアクションに無理がある。
癌や副作用の描写も、やれめまいとか、やれ吐き気とか、やれ失禁しただとか、抗ガン剤を服用し続けたんかもうやめたんかわからなかったけど、本当はもっともっともーーーーっと凄まじい辛さなはずで、それをサラリと小綺麗に収め、死に対する壮絶さ悲壮さを感じ得ないから、杉咲花ちゃんとの生きる死ぬへの対照がぼやっとしてしまうし、無機質な野田が野山で威風堂々を鼻歌しながら流した涙へ移入できる感情は、皆無にほぼ等しかった。頑張って泣いてるなあくらいにしか思えやしなかったよ。
生きることへの描写に丁寧さを感じないから、死ぬことへの想いを重ねる事が出来ない。
-------------
全体的にディスの効いたレビューになりましたが、杉咲花ちゃんはやっぱり光明でした。むしろ、杉咲花ちゃんサイドのストーリーをもっと観てみたかった。