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スノーデンのabeeのレビュー・感想・評価

スノーデン(2016年製作の映画)
3.6
【人類とは不自由を美徳とし、自由を恐れる生き物だ。】

ここ10作くらいジャケットの色が似ててなんか暗いなぁ…と思いつつまた同じような色をチョイスしてしまいました。

オリヴァー・ストーン監督作品らしいドキュメンタリーの要素を持った社会派サスペンスでした。
それでいて前半は主人公・スノーデンの人生にフォーカスを当てていてヒューマン・ドラマとして親しみ易い作品です。

こんな事件全く知りませんでしたね。やはり侮りがたし、アメリカ。愛国心のあまり国民はおろか諸外国の一般人をも監視しているとは。恐ろしいですね。

確かに、今私がこうして触っているスマホから様々な情報が引き出されていると考えるととても恐ろしさがありますが、この世界に人間として生まれ落ちたその瞬間から自由などというものは無いのです。
だからこそ人間は自由を求め全ての事象に逆らい続けます。
空に生きる鳥は自由で良いなぁ、と重力にすら逆らう生き物です。
だからこそ、人間による人間の支配などは抗うのは簡単で、全てをゼロにしたい衝動に駆られるのかも知れません。

人間が自由を望めば望むほど技術の進歩は進み、世界は不自由となっていくことを理解しなければなりません。

難しいことを考えてしまいましたが、この作品自体は風刺が効いていてエンタメ性も重視しているので小難しく考えずに観れます。
まぁ難しい単語が飛び交うのでその辺りをスルーして人間ドラマとして観てしまえばそれなりに楽しめる作品なんじゃないでしょうか?
ニュース番組など実際の映像を多く使用していたり、最後はスノーデンご本人も登場するのでこういうところがもの凄くオリヴァー・ストーンっぽいですよね。

ただ、私はあまりスノーデンに共感ができなかったです。やりたくない仕事ならやめりゃいいのにって思っちゃう。
別に危険を冒してまで自由になる必要はあるのか、と。
私みたいに思う人間がいるからこそ、「彼は、英雄か。犯罪者かー。」なんてサブタイトルがついちゃうんでしょうね。

ということで、国家も国民も必ずしも同じ正義を掲げているわけではないし、NSAの正義が悪であるとは思いません。これで戦争やテロを防げたケースもあったはずです。
だからスノーデンがヒーローだとも思わない。
当たり前ですがどちらかというとスノーデンに寄った作品作りなので国家の言い分もしっかり見てみたいなぁと思いました。

最近レビューが完全に主観だなぁ…。もちろん主観も大事だけどもっと客観的に映画を観ることもしたいなぁ。
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