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ブラックパンサーのabeeのレビュー・感想・評価

ブラックパンサー(2018年製作の映画)
3.4
【受け継がれる意志とはき違えた正義】

満を持して登場したブラックパンサー。
本作を語る上で避けて通れないのがアメコミ作品として初めてアカデミー賞の作品賞のノミニーになったという事実。
否が応でも期待値が高まります。

公開当時はMCU作品の中でも一二を争う高評価だと耳に入ってきましたからね。
MCUの作品の一つである以前に制作陣の大きなメッセージを感じる作品作りでした。

舞台となるワカンダという国は現実が理想とする世界として描かれているように思いました。
初の黒人ヒーローの誕生だけでなく、その国の国防を担う戦士は女性なのです。
複数の民族で構成されるワカンダには男性も沢山登場しますが、その中心にいるのは国王を除きほぼ女性。
これは現実社会における理想を大きく投影しているのかも知れません。

これはなかなかの大博打でありそれに勝ったというのは凄いところ。
ただですね。MCUの波の一部と考えると結構微妙でした。
ワカンダという国は世界最硬の鉱石ヴィヴラニウムの原産国というのはMCUの中では重要な設定ではあるのですがこの辺りをある程度無視しても観れる作品作りは一見さんも大歓迎と間口をおおっ広げにしてくれていて優しい。
その上、既出のキャラクターを一切出さないという強気の作品作り。
そして現実の理想を投影した世界観。
正にアカデミー好みでした。

しかし、もうここまで沼にハマっている私にはイマイチ盛り上がるポイントも無く、最後の展開まで博打の割には保守的。なんて意地悪な感想が出てしまいました。

ということで、正直期待値を上げながらも「こうなるような気がしてた。」って思っていたのも事実。
アカデミー的な作品とはよく言ったものです。
でも、もちろん今作はヒーローのお話。
そして、手段を履き違えようとも同じく正義を全うしようとしたもう1人のヒーロー、キルモンガーの生き様もカッコよかったです。
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