もはやアベンジャーズのスピンオフ作品という枠を大きくはみ出し、今この時代に生まれるべくして生まれた新しいヒーロー映画だろう。現在にはびこる人種問題をひっくり返し、男女の強さの境目を無くし(むしろ女性の方が強いか)、なおかつ全てを総括したうえで世界平和へと繋げる。大衆に伝えるべきメッセージを、娯楽要素満点のヒーロー映画として普遍的に描いたことがこの映画の強さ。物語は少年ジャンプ漫画のような完全なる王道。だからこそ、多くの人に愛される最大公約数たる魅力を秘めている。
アフリカの小国ワカンダ。この国では古くから独自の文明を発展させ、最先端テクノロジーを装備した未来都市として躍進を遂げていた。国ではワカンダの王ティ・チャカが暗殺されたことで、息子のティ・チャラが王位を継ぐことに。王位継承への試練を乗り越えたティ・チャラは、父のやり残した事柄へと着手する。それはかつてワカンダから鉱石ヴィブラニウムを盗んだ罪人クロウを討伐すること。クロウを追って、ティ・チャラ達は韓国の釜山へと飛んだ。
黒人俳優オールスターズとも言うべき若手の売れっ子が躍動する新世代作品だ。音楽もこれまた世界最高峰の売れっ子ケンドリックラマーが手がけており、SZAら他のゲストも超豪華。とくにカーチェイスのシーンにHIPHOPを合わせて、あそこまでカッコよく仕上げたことには驚きを禁じ得ない。アメリカでは爆発的大ヒットを記録しているのも納得。とても分かりやすく、展開も早く、アクションはカッコいい、という鑑賞者側に優しい作品だ。
果たしてあのラストカットはどこに繋がっていくのか。続きはアベンジャーズシリーズを待て、ということか。
