マヒロ

ブラックパンサーのマヒロのレビュー・感想・評価

ブラックパンサー(2018年製作の映画)
2.5
こういうビックバジェット映画で、黒人の人や女性など今までマイノリティとしてなかなかメインに立てなかった人達を主要人物に据えるだけでなく、圧倒的正論をもってぶつかってくる敵の存在で、単純明快な勧善懲悪ものになっていないところが「今」の映画だなと思った。
ただ、それらがヒーロー映画的な面白さにつながっているかと言われるとちょっと微妙なところで、周りの人々を活躍させなければいけないという皺寄せが全て主人公であるブラックパンサー=ティ・チャラに寄ってしまっていて、タイトルロールであるはずの彼がかなり影の薄い存在になってしまっているのがかなり勿体無かった。

敵=キルモンガーはかつてブラックパンサーの国ワカンダを追われた国王の弟の息子であり、負の歴史としてひた隠しにされていたところを自らワカンダに乗り込んで復讐にやってくるという形で、普通なら主人公になってもおかしくないような設定の持ち主。その逆転構造は面白いといえば面白いけど、何も知らずにのうのうと王様をやっているティ・チャラがなんだかバカバカしく見えてくる。
映画の主題は、そういった負の歴史を知った上でどう向き合っていくかというところで、その決着のつけ方はまぁ納得はいくものの、問題はこの映画はここで完結ではなくこの後に『アベンジャーズ』が控えているというところで、要するに都合良くワカンダの便利設定を使いたいがためにその結論に至っただけじゃないのか?とか思ってしまう。
都合良く、と言えば「ブラックパンサーの力」が意外と簡単に得られてしまうし失えてしまうというところも気になって、物語を進展させるために力を得たり失ったりを繰り返すのがなんかしっくりこなかった。自分はライミ版スパイダーマン世代なので、一度得て手放せなくなってしまった能力に嫌が応にも向き合っていく、という構図が好きなんだな。

そもそも、力のないティ・チャラが結構簡単にボコボコにされるのに、力もスーツもない御付きのオコエという女戦士が異様に強すぎるのもなんか残念な感じ。強いのは良いんだけど、完全にこの人が主人公を食ってしまっているし、キャラ的にはいかにもな武人という印象でそんなに面白いキャラでもないし。

今作が昨今の映画界を変える偉大な第一歩となったのは間違いないけど、個人的にイマイチヒットしない作品だった。


(2018.19)[7]
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