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キャプテン・マーベルのFilm日記係のレビュー・感想・評価

キャプテン・マーベル(2019年製作の映画)
3.7
【多少のネタバレ含む】

キャプテン・マーベル鑑賞!これで私もエンドゲームを鑑賞できるチケットを手にすることができたといってもよいだろう。10年以上にわたりあらゆる角度でヒーロー映画を作り続けていながら、未だに楽しい映画を我々にもたらし続けてくれるMCU、スタン・リーには敬意を表せねばならないとつくづく思う。特に冒頭の映像はスタン・リーがいかに多くの人に愛されていたのかを我々に再確認させてくれるものであった。

過去の記憶を失ったクリー人のヴァ―スが、別人に変身する能力を持つスクラル人との攻防をきっかけに、徐々に自身の記憶がよみがえり、キャプテン・マーベルとして覚醒する様を映画いた作品であった。

アメコミについての知識に乏しい私にとっては、序盤の知らないワードの畳み掛けは少々戸惑うものではあったものの、中盤に大きなどんでん返しがあり、単体の映画としては普通に楽しめるものであった。特に、前半におけるヴァ―スやニック・フューリーが地球人に化けたスクラル人と戦うシーンは、誰が敵かわからないというひと昔前に見られたSF映画の1つの手法を思い出させるものでありながら、MCUの映画では案外使われていないものであったがゆえに、一種の新鮮ささえも感じられた。

ストーリーの後半では、ヴァ―スがキャプテン・マーベルとして覚醒し、敵をなぎ倒すシーンがメインとなったが、話の前半では自身のアイデンティティを見つけられずにいた主人公がキャロル・ダンバースとしてのアイデンティティを見出し、自らを解放していく様が、映像を通して観ているこちらにも伝わってくるようになっていた。一方で、後半のシーンは、これまでのMCUの映画のどれかで観たことのあるような展開も多く、だいぶ先読みできてしまうものであったのは残念であった。更に、ヒーロー映画の最大の課題の1つとも言えるヴィランの設定に関して、この映画ではあまりパッとしておらず、終始見ているこちらがハラハラすることがなかった。

また、この映画は過去の回想の使い方や映し方が上手かった。ものによっては不自然な形で回想シーンに移ったりして、ストーリーについていけなくなる映画も多いのだが、この映画は回想シーンのはさみ方やそこで貼った伏線の回収の仕方もちょうどよく、何より主人公が立ち上がるシーンの連続はこの映画で一番好きな場面であろう。

「ブラックパンサー」に続いて、この映画も難民問題という一種の社会を風刺した側面を持つものに仕立てられているのも面白い。この映画では、序盤では見た目からしていかにも悪役にみえるスクラル人が、実はいい人たちで、戦争で居場所を失った宇宙難民であることが中盤以降にわかる。これは物語的な裏切りを含んでいながら、どうしても人を見かけで判断してしまう我々への啓発をも含んでいるように個人的には捉えられた。

基本的には王道に沿った形でありながら、ところところオリジナリティーの帯びた展開もうかがえる、個人的には好きな部類に入る映画であった。

面白さ:0.8 脚本:0.7 人物:0.7
映像:0.8 音楽:0.7
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