Rocko

プリデスティネーションのRockoのレビュー・感想・評価

プリデスティネーション(2014年製作の映画)
4.3
あらすじは読まない方がいいとのレビューが多く、ネタバレを踏まずに鑑賞できました!
これは納得。ジャンルさえも知らずに観たので途中から衝撃。

あらすじと関係ないとこでジョディ・フォスター似のオーストラリア女優サラ・スヌークがめちゃくちゃ演技上手くて語りにグイグイ引き込まれることとイーサン・ホークのバーテンダー役がハマっており、くわえ煙草でサーバーからビールを注ぐ気怠そうな雰囲気がかなり良いです。

よくこんな話思いつくなと思うけど、原作に追加した脚本が時空をわかりやすくしていたように思います。SFサスペンスでありヒューマンドラマで驚くほどよく出来ているタイムパラドックス作品でした。
この作品鑑賞後に自分の中でモヤモヤしていた『TENET』の良し悪しが浮き彫りになり、理解も深まりましたよ。面白かった!

●2020年177作目●



以下、ネタバレ
未見の方は絶対に読まないでください。




これも『TENET』のレビューで書いたセワシ君問題の「親殺しのパラドックス」にブチ当たるんだけど、これを全部一人でやっちゃってるとこが面白い。「鶏が先か、卵が先か」の謎解明とタイムトラベルを同等にして人間には結論出せないだろ?的な説得力がある。
生物学・数学的には卵、宗教的には聖書だと動物が先でヒンドゥー教では卵であり、仏教的では時間は永遠に繰り返されるという概念。視点が違えば、結論も違うということだよね。

フィズル・ボマーは話から浮いてるように感じたらやはり原作には無かったみたいで。ロバートソンも。時間長くしてもう少しここを鮮明に描いて欲しかったかな。でもこの2つの謎めいた雰囲気がテーマと合っていて綺麗な伏線回収に持って行ったと思います。脚本が上手いなぁ。

『TENET』には時間逆行バトルのアクションやスケール感といった良さがあるんだけれども、タイムパラドックスのわかりやすさと脚本で言えば無駄のないこちらが断然わかりやすくて好きです。
『TENET』は設定のゴリ押し感を映像で誤魔化された感覚が残っていて、説明が無い点と考えても結論の出ないSFの難解さはどちらもあるのに『プリデスティネーション』は「鶏と卵」のヒントのおかげでかなりスッキリしました。脚本が秀逸で小ぢんまりした作品は家で観ても面白いんですよ。
『TENET』はやはり劇場で観てなんぼだと思う。ノーラン監督の直筆メッセージが届いたグランドシネマサンシャインで再鑑賞したい!
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