ベイビー

COMET コメットのベイビーのレビュー・感想・評価

COMET コメット(2014年製作の映画)
3.7
星は瞬かない
地上の大気のせいで揺らいで見える
真実は歪まない
人の心のせいで歪んで見える…

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"ある男女の6年にわたる物語が、交差するパラレルワールドの中で進行する"

という、オープニングクレジットから物語は始まります。

愛を信じない男デルが、愛を信じる女キンバリーに一目惚れをし、彗星が降り注ぐなか恋に落ちた男女の物語。5つの時間が交錯し合い、一つの答え(未来)を導き出します。

真実という名の未来は一つだけなのに、男と女は違う感覚で時間を歩んでいきます。まさにそれがパラレルワールド。地球と彗星のように離れては近づき、近づいては離れてを繰り返し、決して交わることはないのです。

二人が歩む歩幅。本音と嘘。過去の記憶の食い違い。男と女。愛を信じない心と信じる心…
同じ時間の中で、自分と他人は違う人生を生きる。あたり前のことですが、他人が生きるパラレルワールドの中へ他人が入ることは出来ません。

愛するが故に、相手の価値観を無理に支配しようとすれば、それは"愛"でなくなり"自己愛"になってしまいます。

当然、二人の未来のベクトルは違う方向を指し、交錯していたパラレルワールドもすれ違いの方向へ向かいます。そのすれ違った彗星は、いずれまたこの星に戻って来るのでしょうか…

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この作品の約90分間ほとんどが、デルとキンバリーの二人のクセが強く理屈っぽい掛け合いが続きます。それを5つの時間が交錯し合って、見事に独特の世界観を表現しています。

キンバリー役のエミー・ロッサムがとてもキュートで、デルが恋する気持ちも分かります。

総合評価は低いですが、僕は好きな作品でした。
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