場所はイギリスのノッティンガム。
ラッセルとグレンの金曜日と土曜日の2日間だけを描いた作品。
この作品はゲイ映画でありながら、エンターテイメント性が一切無く、ラッセルとグレンのセックスシーンだけでもかなりリアル。
穏やかで内向的なラッセルに対しグレンはかなり反抗的で、
もしかしたらグレンはとても嫌な人で、ラッセルをメタメタに傷付ける人なのかな?
と思いましたが、そうでは無かったです。
ただ、正反対の2人なだけ。
外で正々堂々としたいグレンに対して、抵抗があるラッセル。
友達は気付いていたのだろうけれど、"ワザワザ"言う事でも無い…と思っている。
里親に育てられたから、親にカミングアウトする事が出来なかった…とのグレンへの言い訳。
プールの監視員をしているラッセルの同僚2人が休憩室で女に対しての酷い下ネタの会話をしているけれど、ラッセルは複雑な苦笑いをして聞いているだけ。
グレンだったら
「俺なんかさ!」
と、言い返すであろう。
「恋愛には興味が無い」
「結婚(同性婚含む)は意味が無い」
と言うグレンでも、かつては愛した人がいて、その人に傷付けられた過去があったり…。
アーティストのグレンはラッセルの話す言葉をテープに録音したがり、何を話せば良いのかラッセルは戸惑う。
(ダンス)クラブのざわめき、町のざわめき
どこかから投げ掛けられる「ホモ野郎!!」の言葉
だった2日間だけなのに、アメリカに旅立つグレンを"男女の恋愛映画"のように追いかけ、そして涙をお互いに流し、一目をはばからずハグしてキスし合って。
「ホモ野郎」と罵声が飛ぼうと関係無いのです。
(私はこのシーンで泣いてしまいました😢)
ラッセルは里親の息子(血の繋がらない兄弟)ジェイミーにカミングアウトするのですが、
ジェイミーから返って来た言葉は「知っていたよ」
と…
ラッセルにとっても、グレンにとっても、たった2日間だったけれど、きっときっとお互いに"特別な人"に出会ったのだと思う。
この先のストーリーを見る側に委ねるとしたら、私はハッピーな2人の未来を想像してしまう。
ただの"ゆきずりの恋"では無かったと思いたい…そう思うのです。
フィルムの質感も好きで、敢えてBGMを一切入れないのも、監督が意図としてやった事なのだろうな…。
高層アパートメントの14階に住むラッセルの部屋からの眺め。
ラッセルとグレン2人で眺めたり、ラッセルがグレンが帰るところを眺めたり、
窓からの景色が一枚の絵のように映し出していたり…
夜にアパートメントの窓からポツポツと明かりが灯る様子。
部屋は狭くて、キッチンでヤカンでお湯を沸かし、ベッドで飲むコーヒー。
2人の会話、愛し合う"その時…。
「さざなみ」「荒野にて」のアンドリュー・ヘイ監督作品
監督自身ゲイをカミングアウトしていますね。
ラッセル役のトムカレンはドラマ「ナイトフォール」で主演を務めたり、活躍しています。
グレン役のクリスニューは監督業や舞台で活躍しているのですね。
クリスニュー自身もゲイであることをカミングアウトしています。
クリスニューって、本当にイギリス人顔(?)をしていて、若き頃のスタイルカウンシルのポールウェラーや
アズテックカメラのロディフレイムに似てるような?
との余談…
本当に本当に差別では無いのですが、私はストレートな女ゆえ、レズビアンの作品がどこか"生理的"にダメだったりします。
ストレートの男性も、リアルなこの作品に対して、同じような感情を抱くのかな?
抱くかたもいるかもしれません。