死を通じてさまざまな秘密が明かされていく、とてもやりきれないミステリーだった。
前半は、「スタンド・バイ・ミー」を彷彿とさせる。
ひとりの女の子の死の真相を探っていくことで、三人の友情がどんどん深まっていくという感じだ。
いじめられっ子のホアン、人気者のリン、不良のイエは、普通だったら出会うことのない三人。
それが「死」を共有することで、仲間になっていく。
自殺したらしい少女、シャー・ウェイチャオの死を、それこそ冒険のように発見していく様子は、見てはいけないものわ見ているような背徳感もあり、面白い。
そこからの怒濤の後半。
今度は別の「死」がきっかけとなり、それぞれの抱えている秘密や闇が徐々に暴かれていく。
シャーが死んだ本当の理由。ホアンの隠していた秘密。リンの抱える葛藤。イエの苦悩。
ここら辺はもう容赦がない。
二転三転しながら、ミステリーとして明かされていく秘密は、どれも胸が苦しくなるほどだった。
全編を通して「死」と「水」のイメージが散りばめられた画面は美しく、惹きつけられる。
すでに死んでいる人たちが、さりげなく登場してくる演出も魅力的だ。
群像劇の要素もありつつ、最後までシャー・ウェイチャオの死が軸としてぶれない作りもいい。
ひとつだけどうしても言いたいのは、エンディングに流れる曲。
映画の雰囲気にも合っていないし、そこまでの余韻をぶち壊しにしている。
これだけは心底、いらないと思った。
それを除けば、後味は決して良くないけれど、美しく上質なミステリーだった。