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日本のいちばん長い日のベイビーのレビュー・感想・評価

日本のいちばん長い日(2015年製作の映画)
3.8
この映画は、終戦前日の昭和20年8月14日正午の御前会議から翌15日正午の玉音放送までを描いた作品。ポツダム宣言受諾をめぐる、政府首脳の画策と青年将校たちのクーデター。そして、昭和天皇の御意向が克明に描かれております。

まさに「日本のいちばん長い日」だったわけで、その"長い日"をなるべく心に刻むべく、終戦記念日前日の今日、鑑賞しようと前々から決めていました…

と、ここまで書いたのは過去に載せたレビューの写し。昨年の丁度今日、1967年公開、岡本喜八監督のオリジナル版を観て、今日と同じようにレビューを上げさせていただきました。

今日こうして同タイトルのリメイクを観ようとしたのも一年前から決めていたこと。今日という日に必ず一年越しの見比べをしようと、ずっと心に決めていたのです。

そんな余談はさておき、昨年観た岡本喜八監督作品の方は、戦後から22年というまだ生々しい時代背景での公開ということもあり、戦時中における閣僚の臨場感や緊迫感が直に伝わるようでした。

それを半世紀近く経ってリメイクした今作。きっとオリジナルは越えられないと思っていたのですが、いやなんのなんの、中々見応えのある作品に仕上がっていました。

さすが原田眞人監督。「クライマーズ・ハイ」や「突撃せよ! あさま山荘事件」の時のように、歴史的史実に基づく群像劇を撮らせると見事な仕上がりにしてくれますね。

オリジナルに負けない臨場感。きっとその臨場感を保てたのは、細かいカット割りとカメラアングルの良さだと思います。

僕的には、ちょっとカット割りが多過ぎるようにも思いましたが、あのように膨大な登場人物が巻き起こす群像劇では、あの細かさが実に有効的でした。もし俯瞰で誰が喋っているか分からない場面を長々と見せられたとしたら、話が全然頭の中に入ってきませんからね。

後半の将校たちのクーデターは、僕としてはオリジナル版の方が迫力があって好きでしたが、でもトータルで見たら今作もオリジナルと引けを取らない作品だと思います。

キャスティングで言えば、オリジナル版で三船敏郎さんが演じた阿南陸軍大臣を今作では役所広司さんが演じ、オリジナルで笠智衆さんが演じた鈴木貫太郎総理大臣を山崎務さんが演じられ、とても素晴らしい演技でした。新旧甲乙付けがたいほどの名演技。

昭和天皇を演じた本木雅弘さん、若い陸軍将校を演じた松坂桃李さんも見事な演技でした。

原田眞人監督と言えば、来年に司馬遼太郎原作の「燃えよ剣」が岡田准一さん主演で公開される予定です。今作を観て、そちらもますます楽しみになってきました。
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