新潟の映画野郎らりほう

アリスのままでの新潟の映画野郎らりほうのレビュー・感想・評価

アリスのままで(2014年製作の映画)
3.3
【あり(素)のままで~♪】


シンポジウムの場で壇上に立つアリス(ムーア)が、病の影響から困惑迷妄と隣り合わせになりながらも、尚見せる笑顔のスピーチが感動的だ。
そしてこう思う『ああ ここで映画は終わるのだろうな』と。
病に苦しみつつも 負けず 前を向き、それを皆が祝福する。主題論的にも映画の結末に相応しい場面だ。
然し映画は終わらずまだ続く。
安寧な結末を望む私の優しさや望みなど、現実から目を背ける甘えに過ぎぬと言わんばかりに。

そういった意味でも 本作は『ありのまま』を提示している。それは「彼女のまま」を描くには必然だったろう。


カットが変われば 時間も場所もまるで別物に飛ぶ、その恐ろしさ - 本来的にカット間には何らの繋がりも無い - 逆説的モンタージュ演出も「映画それ自身のありのままの姿」である。




《劇場鑑賞》