わじ

ボーダーラインのわじのネタバレレビュー・内容・結末

ボーダーライン(2015年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

現代の「日常」をリアルに描き切る骨太社会派ムービー

誰かにおすすめされていたのをすっかり忘れていたが、Amazon primeで発見したので食事をしながら見始めたけど、冒頭で後悔。。。食事時に見るシーンではなかったけど、バイオレンス度はここがピークで、本筋としては本当に見応えのある作品だった。

原題の『SICARIO』はスペイン語で殺し屋の意味だとオープニングで判明するが、『ボーダー・ライン』に意訳したことで本作のイメージが大きく変わった。

単純に国境を意味するボーダーラインも本作の中では、善/悪であったり、日常/非日常、倫理・道徳/非道・反社会的、組織内の階層など様々な意味での境目を意味しており、主人公ケイトは置かれた状況を理解できずに葛藤し、苦しむが、こうして生きていく(生きている)しかない現実もまざまざと突きつけられる。エミリー・ブラントは『プラダを着た悪魔』のイメージが強かったので結構、衝撃的だった。痩せてた~。

俯瞰で捉えたり、広い構図が印象的だが、特に暗視ゴーグル越しのトンネルシーンは、同じ目線で進行する没入感があり終始ハラハラ。

ラストのサッカーシーンも、何気ない日常のすぐ隣では銃声が聞こえる非日常があり、しかしそれこそが(今もどこかに生きる)彼らにとっての日常であるという自分とのボーダーラインを突きつけられたような気がして何とも言えない思いがした。

多くを語らない映画だけに見る人を選ぶかもしれないけど、本当に現実で起こっている?と言われても納得してしまう設定と、抜群のカメラワーク満載のクライム映画で、とっても見ごたえありました!
わじ

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