かじられる

ネオン・デーモンのかじられるのレビュー・感想・評価

ネオン・デーモン(2016年製作の映画)
4.3
「結局、若い子が好きなんでしょ」
「いや、人によりけりじゃない?」
「嘘ばっかり」

前にある女の子とそんな会話をした。西日を避けるふりをして視線をそらす。手元にはこぼれ落ちそうな本音。

「でも肉体は嘘を吐かないよ」

年齢による衰えはある日跳馬のように訪れ、失意のため息をもたらす。トップモデルの世界では整形、注射も厭わず若さと美の奴隷となる。

でも勝てない。

溶けるような乳白の肌、なめらかなデコルテ、美しさの花芯を眠らせた無垢な少女には。

ジェシー(エル・ファニング)は次第に自らの美貌に目覚めていく。

美は羨望と嫉妬の合わせ鏡。
死はその美を貫く黄金の弓。
ふたつが一緒になった時、永遠の珠玉が誕生する。

誰も飲み込めない宝石。

若くして死なねば美しさは保てない。けどその美は確実に誰かを魅了する。

鳴り果てぬ悲喜劇。

その幕引きの術を、まだ誰も知ろうとはしない。
かじられる

かじられる