KouheiNakamura

ブルックリンのKouheiNakamuraのレビュー・感想・評価

ブルックリン(2015年製作の映画)
4.0
今年は1950年から60年ぐらいのアメリカが舞台の作品をよく見ている。「ブリッジ・オブ・スパイ」、「キャロル」、「ヘイル・シーザー」、そしてこの「ブルックリン」。いずれの作品もその時代の空気を感じさせる衣装・音楽・美術が素晴らしく、画面を眺めているだけで満足できた。50年代はハリウッドの黄金時代と呼ばれ傑出した作品が多かったらしいのだが、そんな時代を舞台にした作品がいずれも秀作・傑作ぞろいなのは何かの偶然なのだろうか。

さて、ブルックリン。確か「ブリッジ・オブ・スパイ」の前半でも出てきた街だが、この作品ではよりアイルランド系移民の街であることが実感できるようになっている。主人公のエイリッシュが故郷アイルランドを離れ、新天地アメリカで暮らす時に選んだブルックリン。彼女がアイルランド系移民のホームレスたちの炊き出しボランティアに参加する場面での表情は非常に印象的だった。心寂しさや期待や不安の入り混じった表情は絶妙で、彼女が故郷に抱いている複雑な感情がよく分かった。この作品は主人公エイリッシュの成長物語なんだけれど、前述した表情のニュアンスや食事シーンの繊細な演出で心の移り変わりを表現していて凄く映画らしい映画だと思いました。
一人の少女が大人になるまでを描いた人間ドラマ。オススメです。
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