とりん

人生はローリングストーンのとりんのレビュー・感想・評価

人生はローリングストーン(2015年製作の映画)
3.4
2020年69本目


ローリングストーン誌の新人記者リプスキーは、話題となっていた作家デビッド・フォスター・ウォレスの作品に興味を持ち、彼を密着取材をすることになる。
新刊のブックツアーに同行し、気さくなウォレスと意気投合するが、彼と時間を過ごすにつれ、段々と心の陰が見えてくる。

孤独を恐れて生きた男たちのロードムービーのように感じた。
特段ストーリーに起伏はないけれど、彼らの心情が表情や言葉の端々から伝わってくるようだった。
本で成功しても不安は拭えない。
誰かしらどこかで不安は抱えているし、こういった作家などは尚更それが強いだろう。
人前に立ったりすることも前向きではなかったし、読書会では質疑応答も避け、テレビにも出なかった。
見た目などで印象づけられたくないからとも語っていた。
不安は常に付き纏い、それを隠すことも拭うことも容易ではない。
ロードムービーのように見せながらも、そういうメッセージ性を強く感じた。

ジェシー・アイゼンバーグ主演の映画にしてはこれまで観たものと少し毛色が違う気がした。
自殺については深く触れてなかったけど、それほど不安と向き合っていくというのは難しかったのだろう。
そういった意味でも昨今著名人の自殺なんかの問題も多く、考えてしまう節はあった。
実話を元にした話だからきっとこの小説家にもローリングストーン誌の記者にもモデルはいるのだろう。
あえて調べはしなかったけど。
エンドロールの曲はとても良かった。
とりん

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