B5版

エール!のB5版のレビュー・感想・評価

エール!(2014年製作の映画)
3.0
コーダあいのうたの元ネタと聞いて観賞。

主人公は家族が大好きで、支え続ける事を当然のものとヤングケアラーとして家族のそばに控えて生きてきたがある日、主役として生きる人生を見出されて将来の選択に悩むことになる。
自己主張バリバリの家族達の中、自分の主張が下手なところが嫌なリアルさがあります。
人の世話ばかりの可哀想な少女、という鑑賞時の主人公の印象が最後の歌唱を経て、
多様な言葉を持つ表現力の高い人間という
サルドゥの“Je Vole"の音楽の通り、一人の人間として羽ばたくようすは美しい巣立ちのシーンですね。

全編ほぼ明るい調子で楽しい映画ですが、根本の構造がエグい。
蓮池に浮かぶ美しい家族の姿という「花」の底には悪意なく子どもを搾取する家族の愛という名の「泥」で埋まっている。
まあ、そこを糾弾する話では無いハートフルな映画なんですけど…愛の名の下にそこをまるっと許容するのは今日日ちょっと…

あと家族間で下ネタ満載なところは、あけすけになんでも話せる強固な家族の仲の描写でもありますが、ちょっと虐待っぽくて笑えないとこもあるので、「コーダ愛の歌」からはどのくらい漂白されてるのかどうかが気になる。
これは無しだな…としれっと全部カットされたら、でもそれはそれで面白みのない家族かも。塩梅が見所ですね。
B5版

B5版