Adachi

美女と野獣のAdachiのレビュー・感想・評価

美女と野獣(2017年製作の映画)
4.0
個人的に、まるで「美女と野獣」は、20年以上も前の話であるにも関わらず、現代の言葉である「オタク」や「引きこもり」を描いているように映りました。

例えばベルは「本が好きな変わり者」という、村人から変人扱いされてきた。そして野獣もまた本が好きで、彼は「ロミオとジュリエット」が好きというベルを少しだけバカにもする。それでもその後にラブロマンスを読んで、好きな相手に趣向を寄せていく感じが少し可愛くて、自身の外見や境遇、他人からの冷たい視線を気にしているオタクが、自分と同じ趣味を持つ人と出会って、恋に落ちるというのは必然ですし、なんとも素敵なことなのでしょうか。

そうするしかないからそうしてるのに、召使達が、夜な夜なチェスをしたり、音楽に耽る姿を見ていると、残りの時間をそうして過ごすのも幸せなんじゃないかとも思ったりして、切なくも甘くもあった。
城で本を読み、語り合うベルと野獣の姿を見ていると、尚更「この時間がずっと続けばいいのに」などと感じてしまう。きっと「外」の世界はそれほど面倒なことで溢れているから。

それでも「自由無くして幸せは無い」というセリフから示されるように、自由とはその外の世界を生きることでしか手にできないということは、今も昔も不変のテーマなのかもしれませんね。
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