このレビューはネタバレを含みます
やりたい事はわかるけど中身が無いといいますか、なぜこの人物がこう動くのか、なぜこのお話がそう進むのかといったディテールがもの凄く適当だと思う。
とにかく場面のどれもが冗長で、悩んだり悲しんだり何かを決意したり、事あるごとに情緒的でペラペラな音楽と共に繰り返されるので、重い題材を扱っているはずの本作を致命的に軽くしてる。
本作の見せ場である謎の部分がある程度上手く描いてくれればそれはそれで良しなのですが、所謂二択の一つを選択しただけなわけで、その真相がわかってからの展開の全てをセリフで説明してしまっているで、もうそこからの展開は蛇足でしかなく、シンプルに下手な映画だなという印象。
加えてマスコミの対応、警察の描写、SNSの誹謗中傷だとか、描き込みが時代錯誤すぎで、「最近の世間や若者ってこんな感じなんでしょ?」という形で、結果的に世の中の欺瞞や偏見を扱っている作品が欺瞞や偏見に満ちているのだと思う。
軒並み役者達の好演、特に妹役の清原果耶さんの演技の幅に好感を抱いたのですが、彼女の着地のさせ方が普通に考えてめちゃくちゃ酷いので、僕の本作に対してのせめてもの「望み」は、彼女にちゃんとした救いを与えてほしかったです。